株式会社マンダムは、高機能スキンケア製品の開発を目指して、美容成分を皮膚深部に送達させる浸透制御技術の研究を行っています。
今回、水溶性成分の皮膚浸透性向上を可能とする、自然由来指数100%(※1)原料のみで構成されたナノキャリア(※2)である「ナチュラルバイセル」の開発に成功しました。
今後は、本技術を皮膚浸透性に優れたスキンケア製品の開発に応用していきます。
研究の背景
マンダムではこれまでに、皮膚浸透性が高い微細カプセルであるバイセルの開発に成功し(※3)、スキンケア製品へ応用してきました。
このバイセル技術の進化として、化粧品の自然・オーガニックに関する国際規格であるISO16128で定義された「自然由来指数」の高い原料を用いたナチュラルバイセルの開発に取り組みました。
1.自然由来指数100%「ナチュラルバイセル」の開発
バイセルは、生体膜類似物質であるリン脂質を主な成分として構成されるディスク状の構造体です。大きさは平面部分が20~数十nm程度、厚みは数~10nm程度であり、脂質二分子膜構造を持つ製剤の中では最小サイズであると考えられています(図1)。
今回、自然由来指数100%である原料から、バイセルを形成する成分の組合せを検討し、スキンケア製品へ安定配合が可能なナチュラルバイセルの開発に成功しました(図2)。
2.ナチュラルバイセルの浸透性評価
一般的に皮膚に浸透し難いと言われている水溶性成分二種を用いて、ナチュラルバイセルによる皮膚浸透作用を評価しました。
ヒト皮膚を用いてカフェインの浸透性を評価した結果、ナチュラルバイセル配合条件下では、カフェインの浸透性を向上させることが確認されました(図3)。
また、水溶性蛍光色素を用いて、同様に浸透性を評価した結果、ナチュラルバイセル配合条件下では、真皮まで浸透していることが確認されました(図4)。
3.ナチュラルバイセル配合モデル化粧水の浸透効果
角層の水分保持に重要な役割を果たしているアミノ酸に着目し、アミノ酸を豊富に含有した発酵エキスとナチュラルバイセルを配合したモデル化粧水を用いた浸透性評価を実施し、角層中のアミノ酸量への影響を確認しました。
その結果、ナチュラルバイセル配合化粧水を適用した方が、角層中のアミノ酸量が多くなっており、特に角層下部のアミノ酸量が著しく増加(約1.8倍)している事が確認されました。
ナチュラルバイセルが発酵エキスを角層の深いところまでより浸透させたことが示唆されました(図5)。
マンダムは、この⾼浸透ナノキャリアである「ナチュラルバイセル」を、高まるナチュラル志向やオーガニック志向など、さまざまな生活者のウォンツに合わせた⾼機能スキンケア製品の開発に応⽤していきます。
注釈および用語解説
※1化粧品の自然・オーガニックに関する国際規格ISO16128準拠(水を含む)
※2ナノキャリア:ナノメートルサイズの成分運搬体のこと
※3「マンダム、皮膚浸透性が高い微細カプセル製剤「バイセル」の開発に成功」2019年2月8日リリース
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