株式会社ロッテはこの度、東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢機構長らのグループとの共同研究により、「ガム噛み習慣のある高齢者は、口腔機能のみならず、身体機能、認知機能が高い」ことを明らかにしました。同研究成果は国際科学誌「Geriatrics & Gerontology International (2024年)」に掲載されました。ガム噛み習慣は、口腔機能や身体機能の維持に役に立つことが期待できます。
■研究概要
先進国、特に超高齢社会を迎えている日本では、健康寿命の重要性が高まっています。口腔機能は、健康寿命と関連性が高いことが明らかになっており、「オーラルフレイル(口腔機能の些細な衰え)」の人は、2年後のフレイル・サルコペニアのリスクが2倍以上であること、4年後の要介護・死亡のリスクが2倍以上となることが明らかとなっております。
一方で、口腔機能の維持、改善方法については口腔体操と歯科治療のみとなっていました。そこで、同研究では新たな習慣化しやすい口腔機能のトレーニングとして、ガム噛み習慣の健康効果を確認すべく、横断的な検証を行いました。
【対象】自立高齢者(65歳以上)1,474名(横断的研究)
【方法】参加者のうち、30分/週以上ガムを噛んでいる人をガム噛み習慣群として、非ガム噛み習慣群と様々な健康状態について比較しました。
■研究結果
ガム噛み習慣群では、咬合力や咀嚼力など、さまざまな口腔機能が有意に高いことが明らかになりました。また、オーラルフレイルの有症率についてもガム噛み習慣群で有意に低いことが明らかになりました。
その他にも、口腔機能のみならず、認知機能検査の点数などの認知機能や、握力や身体的フレイルのチェックリストの該当数などの身体機能についても、ガム噛み習慣群で有意に高いことが明らかになりました。
<研究結果概要>
【掲載紙】
Geriatrics & Gerontology International (2023年12巻20号6534)
タイトル:Relationship between a gum-chewing routine and oral, physical, and cognitive functions of community-dwelling older adults: A Kashiwa cohort study
(地域在住自立高齢者におけるガム噛み習慣と口腔、身体、認知機能との関係:柏スタディ)
著者:川村 淳、田中 友規、菅野 範、大澤 謙二、岡林 一登、平野 浩彦、白部 麻樹、永谷 美幸、孫 輔卿、呂 偉達、飯島 勝矢
【研究背景・目的】
先進国、特に超高齢社会を迎えている日本では、健康寿命の重要性が高まっています。口腔機能は、健康寿命と関連性が高いことが明らかになっており、「オーラルフレイル(口腔機能の些細な衰え)」の人は、2年後のフレイル・サルコペニアのリスクが2倍以上であること、4年後の要介護・死亡のリスクが2倍以上となることが明らかとなっております(※1)。
口腔機能の維持、改善については口腔体操があげられますが、口腔体操を習慣化することは難しいという問題がありました。そこで、本研究では新たな習慣化しやすい口腔機能のトレーニングとして、ガム噛み習慣の健康効果を確認すべく、横断的な検証を行いました。
【研究方法】
■対象:自立高齢者1,474名(横断的研究)
■内容:1週間のガム咀嚼時間を聞き、30分/週以上ガムを噛んでいる人をガム噛み習慣群として、非ガム噛み習慣群と様々な健康状態について比較した。
【結果・考察】
地域在住自立高齢者において、ガム噛み習慣群では咬合力、咀嚼能力などの口腔機能が有意に高く、オーラルフレイルの有症率も有意に低かった。また、口腔機能のみならず、握力やバランス能力(開眼片足立ち)、通常歩行速度などの身体能力も有意に高く、フレイルの判定にも用いられる基本チェックリストの該当数も少ないなど、身体機能も高く、認知機能テストであるMMSEの点数も有意に高かった。この結果から、ガム噛み習慣を促進することはオーラルフレイル予防や多面的なフレイル予防のための健康増進に役立つ可能性が考えられます。
参考文献
※1) Tanaka T, Takahashi K, Hirano H et al. Oral frailty as a risk factor for physical frailty and mortality in community-dwelling elderly. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2018; 73: 1661–1667..