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自動でミクロレベルの傷やよれを修復する 日焼け止めの新技術「オートリペア技術TM」を開発/株式会社資生堂

資生堂は、日焼け止めなどの紫外線(UV)防御機能をもつ塗布膜において、ミクロレベルの傷やよれを自動で修復する画期的な技術「オートリペア技術 TM」の開発に成功しました。日焼け止めの塗布膜は、手指との接触による「傷」や、表情の動きなどによってできる「よれ」により、その部分の塗布膜が薄くなり、UV 防御機能が低下することが分かっています。本技術は、同社独自成分を含む粉末分散剤の組み合わせを配合することにより、塗布膜が完全には固化せず適度な流動性をもつことで、塗布膜にできたミクロレベルの傷やよれを自動で修復します。これにより、手指との接触や表情の動きによる UV 防御機能の低下を防ぐことが可能になりました。
これまで同社が開発してきた、水や汗、熱によって塗布膜の UV 防御機能を高める技術や UV を美肌光へと変える技術に加え、本技術を応用することで、同社の日焼け止め製品はさらに進化していくとのこと。今後も太陽の下でお客さまが表情豊かに、より一層アクティブで自由に日々の生活を楽しむことができる未来を目指していくそうです。


図1 塗布膜の傷やよれを自動で修復するオートリペア技術™(イメージ図)

 

研究の背景

同社は、UV が肌に与える影響についてまだ広く知られていなかった時代から、いち早く UV 防御研究に着手し、日常生活から過酷な UV 条件下までのあらゆる環境下で、UV の悪影響から肌をしっかり守りたいというお客さまのニーズに応えるべく、常に革新的な技術開発を行ってきました。2014 年に、従来は UV 防御の敵であった、水や汗に触れることで UV 防御効果が強くなる技術を開発し※1、2019 年に太陽などの熱によっても UV 防御膜が強化される技術を開発しました※2。さらに、2021 年には、UV を肌に良い作用をもたらす可視光(美肌光)へと変換し、ただ環境中の脅威から逃れるだけではなく、環境と調和・共生しながら美へ導く技術を開発しています※3。
今回同社では、日焼け止めの長年の課題である、手指との接触や表情の動きによって塗布膜が薄れ、UV防御機能を低下させてしまう点に着目しました。このような塗布膜の薄れが自動で修復する現象は「自己修復」と呼ばれ、同社でも長年研究が続けられてきました。しかし自己修復機能を示す成分の多くはゲル(半固形)状で肌へ塗り広げると不均一になってしまい、紫外線防御機能を十分に発揮できない課題がありました。そこで製剤を均一に塗り広げられて塗布膜の欠損も修復できる技術として、塗布膜の流動性を高めることに着目しました。

※1 資生堂、世界初〝水・汗に触れても紫外線防御効果が落ちずに高まる〟革新の日やけ止めの新技術「WetForce」の開発に成功!(2014年)
https://corp.shiseido.com/jp/newsimg/archive/00000000001735/1735_b5z78_jp.pdf
※2 資生堂、世界初“熱で紫外線防御効果が高まる技術”を開発 (2019年)
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002772
※3 資生堂、紫外線を肌に良い作用をもたらす光へと変換する革新技術を開発(2021年)
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003256

オートリペア技術™の開発

塗布膜の流動性を高めるためには通常、粉末の減量か不揮発溶媒の増量が必要ですが、手指への付着のしやすさや使用感のべたつきを招きます。この課題の解決に向けて、流動性の低下をもたらす粉末の凝集を改善する方法を検討しました。その結果、当社のこれまでのマテリアルサイエンス領域の知見をベースに最新の粉末分散研究の知見を取り入れることで、特定の粉末分散剤が塗布膜中の粉末の分散性を改善し、塗布膜が流動的になることを見出しミクロレベルの傷やよれを自動で修復させる新技術「オートリペア技術™」の開発に成功しました(図2)。塗布膜の傷が自動で塞がる様子は、視覚的にも確認することができました(図3)。


図2 粉末分散剤によって塗布膜中の粉末の分散性が改善し、塗布膜の流動性が向上する

図3 オートリペア技術™搭載の塗布膜で、ミクロレベルの傷が速やかに自動修復される様子(顕微鏡写真)

 

オートリペア技術™の効果

実際に、オートリペア技術™を搭載した塗布膜において、UV防御機能の回復が高まるかを検証し、オートリペア技術™によって流動化された塗布膜において、膜に傷をつけた5分後までに UV防御機能の回復を確認しました(図4)。また、従来の手法で流動化された塗布膜と比べて手指へ付着しづらく、UV防御機能の低下量が少ないことも確認できました(図5)。


図4 オートリペア技術™によりUV防御機能の回復が高まる

図5 流動化手法に分散剤を用いたオートリペア技術™は、従来手法と比較し、
手指へ付着しづらく、UV防御機能の低下量が少ない

 

今後の展望

今回開発したオートリペア技術™は、日焼け止めへの応用だけではなく、ベースメイク製品やリップ製品の美しい仕上がり持続にも貢献が期待されます。今後も、同社が強みとするマテリアルサイエンス領域の知見や技術を土台として日焼け止めの技術開発を更に加速させ、より多くの人が太陽のもとで活き活きと過ごせる世界を目指すとのことです。

 

【詳細は下記をご参照ください】

株式会社資生堂 2024年1月9日発表
株式会社資生堂 公式HP

2024年01月10日 20:32

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