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非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の安全性の認識を揺るがすエビデンス

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非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の安全性において、今後の医療現場での影響が避けられないエビデンスが明らかになった。今年5月の米国DDW(米国消化器病週間:Digestive Disease Week=シカゴ)で日本医科大学消化器内科教授の坂本長逸氏が、セレコキシブの製造販売後臨床試験(ロキソプロフェンと胃・十二指腸潰瘍発現率についての二重盲検比較試験)の結果として発表した。

試験は、被験者185人を検査の結果に基づき、H.Pyloriの有無により層別化。セレコキシブ投与群、ロキソプロフェンナトリウム投与群、プラセボ群を2:2:1の割合で無作為割付。2週間の投与期間後、内視鏡で胃十二指腸潰瘍発症率を確認した。

その結果、セレコキシブ投与群では74例中1例、ロキソプロフェンナトリウム投与群では76例中21例、プラセボ群では37例中1例の潰瘍発症が認められた。セレコックス投与群に対するロキソプロフェンナトリウム投与群の潰瘍発症率は、約20倍となった。

同試験において、内視鏡画像の判定を行った坂本教授は、「この結果に驚いている。本邦では初の解析であり、これまで分からなかったというだけで実は危ないということを意識せねばならない。この結果を受け、処方する側の先生に変わって欲しい」と医師の1人としてNSAIDの“安全神話”に警鐘を鳴らした。

慢性疼痛は、腰痛やリウマチなど様々な病態をあわせると国内に約1700万人の患者がいると推定される。こうした疾患の痛み治療の多くにNSAIDsが使用されており、ロキソプロフェンならびにセレコキシブはその代表的な薬剤として知られる。

30年以上の歴史があるロキソプロフェンに対し、セレコキシブは4年前に発売され、選択的COX-2阻害薬として初めての非ステロイド性消炎鎮痛剤。ロキソプロフェンナトリウムは、スイッチOTC薬として販売がスタートするなど、その利用者は多いが、潰瘍は自覚症状がなく進行する場合も多く、医療現場では表面化していなかった。

今回の結果は、そうした事実に対する新たな道しるべを明確に示すトピックとなりそうだ。

2011年07月11日 10:58