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喘息の最適治療阻む治療と患者認識のズレ

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喘息患者における治療と疾患認識に関するインターネット調査が実施され、理解不足や誤解が多いことが明らかになった。調査は、20歳から69歳で過去5年間に喘息での受診経験がある患者を対象に昭和大学医学内科学講座呼吸器・アレルギー内科部門の足立満氏が実施。4,313人から回答を得て、性別、エリア、年齢などで調整し、5,000サンプルをベースに検討した。

受診状況についての質問では、「症状が出たときだけ受診する」が38.4%と最も多かった。「継続受診している」との回答は29.8%だった。今後もそうしたいとの回答は62.3%にのぼった。31.8%が回答した「現在は受診していない」の内訳は、「症状が軽く、ほとんど発作が起こらないから」だった。

配合剤も含めた吸入ステロイド(ICS)を「使用している」と回答したのは43.5%。ICS使用患者で最近1ヶ月の発作頻度は、「全くない」が35%、「週一回未満」が38.2%だった。喘息症状の程度については、49.3%が「症状は軽い、あるいはほとんどない」と回答した。

また、受療中の患者の喘息症状に対する満足度は、症状がある患者で「とても満足」、「満足」、「やや満足」をあわせ、約6割が満足と回答。そのうちICS非使用であり1ヶ月以内に喘息症状を有する患者の満足度も約6割がやや満足以上と回答した。

調査を実施した足立氏は、こうした結果を受け「喘息は気道の炎症性疾患であり、吸入ステロイドによる治療が必要だが、普及率、継続率が低い。病態や治療薬への理解不足などから若者を中心に継続受診率が低い。正しく理解してもらい、喘息治療のゴールが“症状ゼロ、健康な人と変わらない生活”であることを認識して欲しい」と語った。

喘息の治療においては、ICSの的確な使用や継続受診などにより大きな効果が期待できる。ところが、同調査ではそうしたことへの理解不足や誤解がまだまだあることが浮き彫りとなった。ICSについては「ステロイドは怖い」などの副作用に対する不安なイメージを挙げる患者がいまだ少なくなく、ネガティブに捉えられていることも分かった。

喘息の治療環境は、2009年の喘息予防・管理ガイドラインの改訂や新たな配合剤の登場などで、整備されつつある。治療の最前線では、有効な治療と併せ、そうしたギャップを埋める努力も求められている。

2011年10月21日 10:40