株式会社マンダムは、先端化粧品科学共同研究講座(大阪大学大学院薬学研究科とマンダムとの共同研究講座 以下共同研究講座)において、ヒト皮脂腺に直接作用することで、より効果的に皮脂分泌をコントロールできる製品の開発を目指して、皮脂腺を対象とした研究に取り組んでいます。
この共同研究講座では、これまでに、ヒト皮脂腺を 3 次元的に観察することに成功し、また、新しい皮脂(油滴)は、ヒト皮脂腺の最外層細胞で生成されることを明らかにしてきました。
今回、ヒト皮脂腺における皮脂(油滴)の生成の度合いを数値化することに成功したことで、新たな評価法が確立できました。さらにその評価法を用いて、ライスミルクに含まれるフィチン酸(※)のヒト皮脂腺における皮脂抑制効果を見出しました。
なお、この研究成果は、第 24 回国際化粧品技術者会(IFSCC)ソウル大会(2017 年 10 月 23 日~25 日)において発表します。
■1.ヒト皮脂腺における皮脂(油滴)生成の度合いを数値化することに成功■
これまでの研究で、ヒト皮膚組織(倫理審査承認済み)中の皮脂腺を 3 次元的に観察することに成功し、また、ヒト皮脂腺の最外層細胞において、既知の皮脂促進試薬で処理した際に、新しい皮脂(油滴)が生成されることを明らかにしてきました。
しかし、その生成度合いを数値化することによる客観的な評価・比較は行えていませんでした。今回、解析ソフトを用いて3次元画像における最外層細胞の皮脂(油滴)の数を検出できたことで、生成度合いを数値化することに成功しました(図 1)。
これにより、生体に近い状態での皮脂生成の評価が可能となりました。この評価法を活用することで、ヒトの皮脂腺に有益に作用する素材の探索や開発ができると考えられます。
■2. フィチン酸がヒト皮脂腺での皮脂(油滴)生成を抑制することを実証■
最外層細胞中に生成された皮脂(油滴)の個数を、最外層細胞の体積で割った値を皮脂生成度と定義し、ヒト皮脂腺における皮脂生成評価を行いました。
その結果、既知の皮脂促進試薬で皮脂腺を処理した場合、その生成量が有意に上昇することが確認されました。また、マンダムにおけるヒト試験で、皮脂抑制効果が実証されているフィチン酸を同時に加えていた場合には、皮脂生成が有意に抑制されることが明らかになりました(図 2)。
この結果は、フィチン酸がヒト皮脂腺に働きかけることで、皮脂分泌が抑制され、皮膚上の皮脂量が減少することを示唆しています。マンダムは、今後も皮脂腺に着目した研究をすすめ、更なる評価法の確立やメカニズムの解明を行うことで、皮脂による肌トラブルに悩む生活者にお役立ちします。
※フィチン酸:近年パワーフードとして知られるようになった「ライスミルク」に含まれる成分
【詳細は下記URLをご参照ください】
・株式会社マンダム 2017年10月23日発表
・株式会社マンダム 公式サイト