ポーラ化成工業株式会社は、2018年に新たに承認を取得した美白有効成分PCE-DP(開発番号 MKS-518、補足資料1)が、下の図のようなメカニズムをもつことを解明しました。この知見は、2019年9月18~21日にフランスで行われる第49回欧州研究皮膚科学会議(49th Annual European Society for Dermatological Research Meeting)にて発表します。この成果は、株式会社ポーラから発売される製品に活用される予定です。
※1 新規美白有効成分を配合した医薬部外品として。2018 年 12 月時点の、医薬品医療機器総合機構の医薬部外品承認情報による
※2 メラニンの蓄積をおさえ、しみ・そばかすを防ぐこと
■ PCE-DPはエネルギー産生を促す
PCE-DPは、表皮細胞において、エネルギー物質を作り出す反応経路のひとつである「クエン酸回路」を活性化させることが分かりました(図1A)。クエン酸回路は、一度の反応で多くのエネルギー物質を生み出すことができますが、表皮ではあまり活用されていません(補足資料2)。細胞が正常に働くためにエネルギーは欠かせないことから、休眠しているクエン酸回路を活性化させることで、さまざまな良い影響が期待されます。
■メラニン引き渡し および 取り込みが沈静する
PCE-DPを与えた培養表皮細胞では、(1)メラノサイトにメラニン引き渡しを促す伝達物質の産生が沈静すること(補足資料3)と、(2)表皮細胞自体のメラニンの取り込みが沈静すること(図1B)が分かりました。これにより表皮細胞に含まれるメラニン量が減少していくと考えられます。また、これらの変化が起こるのは、表皮細胞内でエネルギーが十分に作られた結果、細胞の働きが正常化するためであると考えられます。
■細胞の増殖を助け表皮細胞の生まれ変わりを促す
クエン酸回路を活性化させると、表皮細胞の増殖も活発になりました(補足資料4)。その結果、表皮の生まれ変わりが促され、メラニンを抱えた細胞が自然にはがれやすくなると考えられます。
■ PCE-DPは表皮の状態を総合的に改善
PCE-DPは表皮細胞のエネルギー産生を高めることから、抗炎症力、抗酸化力など肌本来の働きが高まり、肌が総合的に改善することも期待できます。実際に、使用試験ではうるおい、キメ、化粧のりなどの改善が実感されていました。
【詳細は下記URLをご参照ください(補足資料を含む)】
・ポーラ化成工業株式会社 2019年4月22日【PDF】発表
・ポーラ化成工業株式会社 ホームページ