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食品安全委員会で、イソフラボン所要目安量を設定

12日、食品安全委員会新開発食品専門調査会が行われ、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方(第30回会合修正案)」の発表と、委員による意見交換が行われた。この中で、通常の食生活において大豆や大豆食品として摂取する場合は「大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値が70~75mg/日」(大豆イソフラボンアグリコン換算値)、通常の食生活とは別に、さらに健康食品やサプリメントなどで大豆イソフラボンの摂取量を上乗せする場合は、その量を30mg/日と設定した。  一日摂取目安量は(1)食経験に基づく設定、(2)ヒト臨床研究に基づく設定の2つが根拠となった。(1)は、平成14年国民栄養調査から試算した大豆由来食品からの大豆イソフラボン摂取量の95パーセンタイル値(計測値を小さい順に並べた時に、その個数が任意のパーセントの位置にある計測値)である70mg/日を採用。日本人にとっては食経験が長く、明らかな健康被害の報告はないことによる。また、(2)ではイタリアにおけるヒト試験で、閉経後女性に5年間、大豆イソフラボン錠剤を150mg/日を摂取させたところ、子宮内膜増殖症の発症が投与群で有意に高かったとの報告を踏まえて、その2分の1 量を現時点における人の安全な上限摂取目安量とした。  また、大豆イソフラボン一日上乗せ摂取量は、保健用食品やサプリメントなどから大豆イソフラボンを補給する際の目安量で、閉経前女性が上乗せして摂取する量の上限値を30mg/日として設定し、この結果を閉経後女性と男性にも適用した。ただし、妊婦および胎児、乳幼児、小児については、特定保健用食品として上乗せ摂取することを推奨できないとした。  今回の報告書に関して、池上幸江専門委員(大妻女子大学家政学部食物学科教授)は「食経験が長く、日本人に親しまれてきた大豆や大豆食品の安全性は疑いなく、大豆イソフラボンのみの摂取を目的とするサプリメントや特定保健用食品などとは切り離して考えるべきで、その旨を報告書に盛り込んだ。大豆や大豆食品は良質で、脂質の少ないたんぱく質として、今後も推奨していくべきだ」と、述べた。  今回の設定に大きな影響を与えたのは前述のイタリアでのヒト試験結果だが、委員からは「追試の必要があるのではないか」との声が上がった。設定値も、あくまで現時点の知見に基づいていることから幅を持たせた設定となっており、今後もより明確な設定のためにデータ収集の必要があるとの意見も出された。今回の報告書には、この上限値を超えることで、直ちに健康被害が発生するものではないと強調されている。

2005年12月19日 15:48