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ライオン・太田睡眠科学センター / 「トマト酢」が睡眠の質改善と発表

 ライオン(株)(本社東京都墨田区、藤重貞慶社長)と太田総合病院・太田睡眠科学センター(所在地神奈川県川崎市、佐々木三男所長)は共同で、トマトを発酵させた「トマト酢」を飲むと深い睡眠が増え、睡眠の質が改善されることを明らかにした。太田睡眠科学センターは、日本における睡眠障害の先駆者的存在だ。
 「熟睡した」という実感を得るには、「ノンレム睡眠」のうち脳の休息に有効な「深睡眠」の時間が長いことが必要だという。また、睡眠には「精神的ストレス」と「体温調節機能」が影響する。ストレスを感じたまま寝ると睡眠自体にストレスがかかり、乱れた睡眠パターンに陥ってしまう。体温調節機能は通常、寝る前に体温を下げ「深睡眠」に導くが、手足の冷えがあると機能が低下してしまい、手足からの熱拡散が妨げられ、体温が下がりにくくなり、睡眠パターンが乱れがちになる。こうしたことを背景に、ライオン(株)は「血管拡張作用」を有し、リラックス効果が注目されている“GABA”を多く含む「トマト酢」に着目した。
 まず行った臨床試験は、25~39歳の女性9人を対象にプラセボ群を設定し、就寝1時間前に「トマト酢」配合食品を摂取してもらうというもの。睡眠の状態について睡眠ポリグラフ(睡眠中の「脳波」、「節電図」、「眼電図」、「心電図」などを測定し、睡眠の質を測定する機器)で測定したところ、プラセボ群に比べて「深睡眠」の割合が増える傾向にあった。同時に、睡眠の初期に「深睡眠」が増える程多く分泌される「成長ホルモン」の量も測定した。起床直後の尿中の成長ホルモン量の測定を行ったところ、「トマト酢」配合食品摂取群は、プラセボ群と比較して約1.8倍に増加していた。
 さらに、睡眠実感を測定するOSA法(睡眠の質を解析する手法)によるアンケートを行った結果、「継続して眠れた」、「深く眠れた」などの項目で高い評価が得られ、睡眠に対する満足度が向上することが分かった。
 メカニズムを検証するために、「ストレス軽減」、「手指先の温度変化」についても試験を行った。「ストレス軽減」効果があるかどうか調べるため、10人の男女を対象にプラセボ群を設定し、クレペリンテストで精神的負荷をかけた。その結果、プラセボ群と比較して唾液中のクロモグラニンA(ストレスにより放出されるといわれるタンパク質の1種)が有意に低下した。
 「手指先の温度変化」については、成人男女15人を対象にプラセボ群を設定し、「トマト酢」配合食品の摂取後60分後に手指先の温度を測定したところ、「トマト酢」配合食品摂取群は平均1.6度高まり、プラセボ群に対し有意に上昇した。同時に「手指先の血管幅」を測定したところ、初期値に対し18%増加した。さらに「手指先の酸素消費量」も測定したところ、有意に増加した。
 以上のことから、「トマト酢」は「深い睡眠」の割合を増やし、「睡眠の質」を改善することが分かった。これらの研究結果は、今後、学会で発表する予定。

2006年06月16日 10:00