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日健栄協 / 第2回「特定保健用食品」講習会を開催

 日健栄協は9日、第2回「特定保健用食品」講習会を開催した。
 最初に大妻女子大学家政学部・池上幸江教授が登壇。「トクホの申請における技術的ポイント」と題し講演した。ポイントの1つとして、関与成分のみならず、食品形態が適切かを挙げた。たまにしか食べないものは駄目で、継続的摂取で有効性が担保されなければならないと言明。また、有効性試験では被験者に男女が含まれることを必要条件として挙げた。安全性確保は、食経験は海外におけるものは採用されず、1つでも安全性が疑われる論文があれば認められないとした。
 次いで「トクホ製品開発の経験から ステイバランスRJの開発」をテーマにアピ(株)長良川リサーチセンターの荒木陽子氏が講演。ローヤルゼリーペプチドにACE阻害活性が見られたことから血圧上昇を抑制するトクホの開発に着手したと言明した。しかしACE阻害活性が指標ペプチド単独では弱く、30%以上の寄与率を出すため“IV”・“IVY”・“VY”の混合物としたと説明。安全性試験・有効性試験を経て厚労省から国立栄研に聞くよう指導を受けたところ、国立栄研からHPLC分析による規格設定が不十分という指摘を受け、LC/MS/MSによる分析に切り替え、ACE阻害活性を指標に3種のペプチドを定量、その後ACE阻害活性効力として換算、規格設定を行うことになったという経緯を披露した。また食品安全委員会からは「ACE阻害剤の副作用である空咳は出るか?」との指摘を受けたが、空咳があったのは155名中5名とわずかであったことから、摂取中の注意として表示することで決着したとした。
 続いて「トクホ製品開発の経験から 『ブレンディコーヒーオリゴ糖入りコーヒー』シリーズの開発」として、味の素ゼネラルフーヅ(株)商品・技術開発研究所の熊王俊男氏が講演。コーヒーかすの“マンナン”を加水分解することで“コーヒーオリゴ糖(マンノオリゴ糖)”の抽出に成功、ビフィズス菌占有率の上昇、便性アンケートで排便日数・排便量共に改善効果が見られたことからトクホ申請を行ったと説明。粉末で許可を取ったものの、シリーズ品の液体は食品形態が異なることから再び臨床試験が必要になったとした。
 午後に入って、厚労省医薬食品局食品安全部規準審査課新開発食品保健対策室・高田明子保健機能食品係長が登壇。「特定保健用食品の現状について」と題し講演。「従前の例で過剰摂取試験を行う場合3倍量の設定が基本ですが、倫理委員会で被験者の安全性上の観点から2倍量までが妥当と判断されれば、それに準じてよいですか」の質問に対し、「3倍量の過剰試験は必須。3倍量を摂ると食事が摂れなくなると倫理委員会が判断する場合は食品形態を変えることが考えられる」など、さまざまな質問に回答した。また、(1)開発の相談には応じられない、(2)申請中の製品の指摘に対する回答に長期間要するのであれば、再申請してほしい、(3)利用者からの意見の収集、定期的な品質確認など、許可後の管理体制を整えてほしいとする伝達事項を述べた。
 次に「メタボリックシンドローム研究からのトクホ開発へのヒント」と題し東京慈恵医科大学・多田紀夫・内科学教授が講演。推奨する食事内容として、(1)総エネルギーの制限と減塩、(2)飽和脂肪酸、トランス型脂肪酸ではなくn-3脂肪酸を含めた一価あるいは多価不飽和脂肪酸の摂取、(3)高コレステロール血症は炭水化物の総摂取カロリー比を60%に、(4)メタボリックシンドロームは炭水化物の総摂取カロリー比を50%程度にし、質を考慮――を挙げた。特定保健用食品の将来の展望としては、動脈硬化を予防する機能を持った特定保健用食品はまだ出現していなく、その開発が望まれるとした。
 続いて内閣府食品安全委員会事務局評価課・中山鋼・評価調整官が「特定保健用食品の安全性評価の考え方~最近の事例から~」をテーマに講演。過去の指摘を例に挙げた。例の1つとして、「作用点に移行するまでの体内動態が明確でない」を挙げ、体内で有害な代謝物質等ができていないか、蓄積性はないか等の観点から、当該食品を摂取してから、作用点に到達するまでの体内動態のデータ等を提出することとなったとした。また、食経験として故事、文化人類学的な資料の提出は認められないと説明。さらに過剰摂取試験では、単回で1日摂取目安量の3倍量を摂取することが必要で、1日3回に分けて摂取するのは却下だとした。また、暴飲暴食を許しているなど、統計処理が不適切な例が見られると指摘した。最後に中山調整官は、事前相談に応じる旨を強調した。

2007年03月12日 16:25