築野グループ株式会社は、米ぬか由来成分ライステロールエステルについて美容効果を高める新機能を発見しました。
同社は米ぬかを高度有効利用することを目標とし、こめ油事業・ファインケミカル事業・オレオケミカル事業を展開しております。ファインケミカル事業では、米ぬかからこめ油を精製する課程で発生する副生成物からあらゆる機能性成分を抽出精製し、医薬品原料、化粧品原料、食品添加物、食品素材、飼料、飼料添加物、工業用薬品等を製造しています。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
■ ライステロールエステルについて
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ライステロールエステルとは、こめ油に含まれる植物ステロール及びトリテルペンアルコールと脂肪酸のエステル体を築野グループ独自の技術で抽出したものです。抱水性に優れ、皮膚保護剤やエモリエント剤などの化粧品原料として使用されておりますが、この度、肌の細胞に働きかけて美容効果を高めるという新規機能を発見致しました。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
■ ライステロールエステル 新規美容効果とは?
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
●肌を若々しく保つ働き
ヒト真皮に由来する繊維芽細胞を用いた試験より、細胞にライステロールエステルを作用させるとIII型コラーゲンを合成するCOL3遺伝子の発現量が増加し、関連して細胞の産生するIII型コラーゲン自体も増える事が明らかとなりました(図1)。III型コラーゲンはベビーコラーゲンとも呼ばれ、年齢とともに減少する事が知られています。また、同試験により、ライステロールエステルがヒアルロン酸合成酵素であるHAS2遺伝子の発現量を増加させることで、ヒアルロン酸産生量を増加させる効果も明らかとなりました(図2)。ヒアルロン酸も年齢とともに減少すると言われています。今回の試験より、ライステロールエステルは真皮の線維芽細胞に働きかけ、(図3[1])、III型コラーゲンを遺伝子レベルから増加させる(図3[3])と共に、ヒアルロン酸産生も増加させ(図3[3])肌を若々しく保つ機能を有すると考えられました。
【図1】
【図2】
【図3】
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
■ 研究内容
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
細胞試験の結果を根拠にヒトでの塗布試験を実施しました。被験者となった22名の女性(平均年齢38歳)は、顔の半分にライステロールエステル配合クリーム(試験クリーム)、もう半分にライステロールエステル不含クリーム(プラセボクリーム)を毎日塗布し、4週間に一回の測定を受けながら12週間にわたり試験を継続しました。測定結果から試験クリームは経皮水分蒸散量を減少する事が明らかとなりました(図4(A))。経皮水分蒸散量は角層を通過して蒸発する水分量を表し、その減少は皮膚バリア機能の改善を示しています。角層水分量についても塗布4週目から試験クリームの使用で改善が認められ(図4(B))、肌のうるおいを高める効果が確認されました。これらの結果から、ライステロールエステルの肌線維芽細胞活性化に起因するヒトでの美容効果が実証されました。同件の結果について「線維芽細胞活性化剤(特願2021-140295)」として特許出願をおこないました。
【図4】
【詳細は下記URLをご参照ください】
・築野グループ株式会社 2021年11月29日発表
・築野グループ株式会社 公式サイト