フジッコ株式会社は、「黒大豆ポリフェノール」を機能性関与成分とした「パソコンやスマートフォンなどのディスプレイ作業により生じる一過性の疲労感を軽減」する機能に関する機能性表示食品について消費者庁へ届出を行い、2022 年 12 月 28 日に受理されました。
近年、VDT(Visual Display Terminals)と呼ばれるパソコンやスマートフォンなどのディスプレイ作業を長時間続けることにより疲労を感じる方が増加しています。背景には、仕事のデジタル化の拡大や、スマートフォンの普及、在宅勤務の推進があります。これらの対策として、令和元年に厚生労働省は「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を策定しています。
また、厚生労働省が日本の事務、販売などに従事する 16,000 人の労働者に対して実施した調査によると、全体の 87.5%がコンピュータ機器を使用しており、その内の68.6%が身体的な疲労や症状を有していました(図 1)。理化学研究所の渡辺先生によると、長時間のディスプレイ作業といった過活動は体内の酸化ストレスを増加させ、自律神経が乱れることで疲労に繋がると考えられています 1)。
同社は、黒大豆種皮から抽出・精製した機能性素材である、黒大豆ポリフェノール「クロノケア®」を開発し、これまで様々な機能性研究を行ってきました。「クロノケア®」は、ポリフェノールを 58%以上(主成分は低分子プロアントシアニジン)含み、非常に高い抗酸化作用を有します。ディスプレイ作業により生じる疲労感に対する効果を検証するため、「クロノケア®」100mg を 4 週間摂取してもらい、パソコン作業 2 時間により疲労を負荷するヒト試験を実施しました。その結果、「クロノケア®」の摂取により疲労感が軽減できることが確認できました(図2)。メカニズムとして、体内の酸化ストレスを低減して自律神経機能を整えることで、ディスプレイ作業によって生じる疲労感が軽減されたと考えられました。
図 2:「クロノケア®」100mg を 4 週間摂取した後の疲労感の変化(パソコン作業負荷 2 時間)摂取 4 週間後検査の実測値 t.test *p<0.05 bars represent SD
今回の届出は、「クロノケア®」の機能性関与成分「黒大豆ポリフェノール」による「パソコンやスマートフォンなどのディスプレイ作業により生じる一過性の疲労感を軽減」する機能の研究成果をまとめた SR(システマティックレビュー)を作成し、消費者庁への届出を行ったものです。「表示しようとする機能性」に「ディスプレイ作業により生じる一過性の疲労感を軽減」の文言が入っている機能性表示食品は、「黒大豆ポリフェノール」が初となります。
社会背景として、パソコン作業などで生じる疲労や眠気による労働生産性の低下や 2-4)、長時間の着座姿勢により足の深部静脈に血栓が形成される血管疾患への影響 5)が以前より問題となっており、これらは近年の在宅勤務の浸透により、一層対策が必要であると考えられます。「黒大豆ポリフェノール」は、今回の届出に先立ち、「日中の一時的な眠気を軽減」する機能や「加齢とともに低下する血管のしなやかさを維持」する機能での届出も受理されています。今後は、「黒大豆ポリフェノール」がこのような社会課題の解決に役立てるよう、自社の新たな機能性表示食品の開発や、機能性食品原料として、飲料やサプリメント等の素材販売を進めていく予定です。
1) 渡辺恭良. 疲労の科学・脳科学と抗疲労製品の開発. 日本生物学的精神医学会誌, 2013, 24.4: 200-210.
2) 山口晴久ら. VDT 文書入力作業の作業時間による心理負担測定のための評価尺度の開発. 日本教育工学会論文誌, 2004, 28.4: 295-302.
3) 社員の健康に関する調査(2022 年) ティーペック株式会社
4) 2018 年度「企業の睡眠負債」実態調査 株式会社ニューロスペース
5) Parihar, J. K. S., et al. Computer and visual display terminals (VDT) vision syndrome (CVDTS).Medical Journal Armed Forces India, 2016, 72.3: 270-276.
【詳細は下記URLをご参照ください】
・フジッコ株式会社 2023年1月18日【PDF】発表
・フジッコ株式会社 公式サイト