オリザ油化株式会社(本社:愛知県一宮市、代表取締役社長:村井弘道、以下「オリザ油化」)は、同社の主力製品である「オリザセラミド®」の感冒症状改善作用(外部臨床試験)について国際的な栄養・食糧学会である 22nd IUNS-ICN(東京、2022 年 12 月 6 日~11 日)にて報告している。今回、そのメカニズム解明試験の一環として、樹状細胞※1 をはじめ種々の免疫細胞を用いた免疫賦活作用の評価を実施した結果、米ぬか中の主要なセラミドの一つである、グルコシルセラミド(以下、GlcCer)に強い免疫賦活作用を見出した。(特許出願済)
背景として、セラミドは、免疫賦活作用をもつリポポリサッカライドと構造の一部が類似していることや、GlcCer がマウスの樹状細胞や好中球※2を活性化させ、免疫賦活作用を有することが報告されていたことから、今回、これらをヒントに研究に着手している。GlcCer は、多くの植物に含まれており、化学構造の違いによって様々な GlcCer が存在している。オリザ油化では、主力商品である「オリザセラミド®」の原料である米ぬかに含まれる GlcCer の成分研究を実施し、13 種の GlcCer および 6 種の糖のついていないフリーセラミド(Cer)※3 を単離している。また単離した GlcCer および Cer については、過去において 3 次元表皮モデル細胞において保湿作用や美白作用を確認し、米ぬかに最も多く含まれる GlcCer に優位性があるデータを取得している。
免疫システムの要である樹状細胞を用いた試験は、IPS 由来※4の樹状細胞(iMylc 細胞)を使用して免疫応答の初発物質であるインターロイキン(IL)-6 の放出量を指標に京都大学との共同研究ラボを持つ企業であるマイキャン・テクノロジーズ株式会社に委託した。結果、米ぬかに最も多く含まれる GlcCerに強い IL-6 放出促進作用が認められ、ヒト型セラミドである“エラスティックアミド”にも活性が認められた。尚、その他の単離した GlcCer については構造活性相関を確認するために、樹状細胞における免疫賦活作用の試験を引き続き行っていく予定である。他の異なった種類の免疫細胞を用いた試験も既に実施しており、好中球においては病原体に接近する速さ(細胞遊走能)、マクロファージにおいては IL6、ナチュラルキラー細胞においてはインターフェロンγ※5を指標に評価している。これらの試験結果についてもポジティブな結果が得られており、来る 2023 年 3 月 25 日~28 日に開催される日本薬学会 第143 年会にて発表する予定である。
「オリザセラミド®」は肌の潤いを保つヘルスクレームで機能性表示食品に受理実績があり、保湿作用だけでなく美白作用や免疫増強作用も示唆されていることから国内のみならず国外からも関心を集めている。免疫増強作用については、基礎的なエビデンスを今後も取得し、市場で応用できる範囲を広げていく予定である。
日本薬学会 第 143 年会
日時:2023 年 3 月 25~28 日
会場:北海道大学
講演名:米由来各種グルコシルセラミドおよびセラミドの自然免疫賦活作用
演者:宮坂賢知(オリザ油化株式会社 研究開発本部)
【詳細は下記URLをご参照ください】
・オリザ油化株式会社 2023年2月15日【PDF】発表
・オリザ油化株式会社 公式サイト