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シミを増殖させる新たなメカニズムを解明/資生堂

 資生堂は、これまでシミ研究ではあまり注目されていなかった肌の奥(※1)で、シミの増殖防御機能が低下していることを発見しました。今回、その原因が真皮と表皮の間にある基底膜の構成成分のひとつであるヘパラン硫酸という物質がシミのある部位では減少していること、これによって肌の奥の真皮で産生される「シミ増殖因子(※2)」が肌の上部(表皮)へ流入する量を適切にコントロールできなくなっていることを突き止めました。そこで、対応成分の研究を進め、ヘパラン硫酸の減少抑制効果が「マドンナリリー根エキス」にあること、産生促進効果が「グルコサミン」にあることを新たに見出しました。また、この両成分を同時に配合すると、減少抑制と産生促進の効果が高まるシナジー効果があることもわかりました。

 この新たな研究成果によって、これまで美白有効成分(医薬部外品)を中心に行なってきた肌の上部(角層、表皮)のシミ美白対応に、肌の奥(※1)からの「シミ増殖因子(※2)」を抑制する対応が加えることができたことにより、肌全体でのシミ美白対応を確立することができました(図1)。
 今回の研究成果を応用し、さらに進化した美白スキンケア化粧品の開発を進めていきます。

 ※1 肌の奥:基底膜、真皮
 ※2 「シミ増殖因子」は、表皮まで必要量以上に到達したKGF(Keratinocyte Growth Factor:ケラチノサイト成長因子)をさしています。

 *「図1」は下記【関連資料】「図1~5」を参照

<これまでの資生堂のシミ美白研究と美白有効成分の開発>
 紫外線をあびると、肌の上部(表皮)に存在する色素形成細胞(メラノサイト)で、黒褐色になるメラニン色素の生成が増加し、メラノサイト周囲の基底細胞(ケラチノサイト)にメラニン色素を渡します。黒褐色のメラニン色素を過剰に蓄えた基底細胞は黒化基底細胞となり、その部分が黒褐色のシミとなります(図2)。資生堂は、これまで一般的にシミの肌状態として言われている、メラノサイトによるメラニン色素の過剰産生だけでなく、メラニンを渡されたケラチノサイトも含めた肌の上部の表皮全体が「負のスパイラル」と呼ぶ異常な状態に陥っていることを明らかにしてきました。そして、このシミ部位の肌状態に対応する医薬部外品美白有効成分として、「m-トラネキサム酸」や「4MSK」などを独自に開発してきました。
 このように、「シミ」の原因究明のためには、メラニン色素やメラノサイトだけでなく肌全体で起こっている現象を捉えることが重要と考えています。しかしながら、これまではメラニン色素やメラノサイトが存在する、肌の上部(表皮」を研究対象としていました。
 そこで、シミの研究の深化をはかるべく、肌の上部の「表皮」だけではなく、肌の奥の真皮や基底膜も含めた「シミの肌全体」に着目して、研究に着手しました。

 *「図2」は下記【関連資料】「図1~5」を参照

<肌の奥でシミを増殖させる新たなメカニズムを解明>
 研究を進めた結果、(1)シミ部位の肌では基底膜の成分のひとつである「ヘパラン硫酸」という物質が減少していること(図3)、また、この(2)「ヘパラン硫酸」には、真皮に存在している線維芽細胞が産生する「シミ増殖因子(※2)」を、表皮に流入する量をコントロールする機能があることがわかりました。
 このことにより、メラノサイトやケラチノサイトの存在する肌の上部の表皮だけでなく、「肌の奥の真皮にもシミを増殖させる要因があり、基底膜に存在しているヘパラン硫酸は、このシミ増殖因子(※2)が肌の上部の表皮に流入する量をコントロールしている」ということが明らかになりました(図4)。

 *「図3・4」は下記【関連資料】「図1~5」を参照

<肌の奥の「シミ防衛機能」を高める成分探索>
 この新たな発見に基づき、ヘパラン硫酸の減少を防ぐ成分を、2万を超える候補成分より探索した結果、「マドンナリリー根エキス」に高い効果があることを見出しました。また、生体内でヘパラン硫酸を産生するときに、材料として使われる「グルコサミン」に、ヘパラン硫酸の産生を高める効果があることを見出しました(図5)。
 この2つの成分を同時に配合することによって、ヘパラン硫酸の「分解を抑え」「産生を促す」というダブルの対応ができるだけでなく、それぞれの効果を高めあうシナジー効果を発揮することもわかりました。この発見によって、肌の奥から発生する「シミ増殖因子(※2)」が表皮に流入する量をコントロールする、防御機能を高めることが可能となりました。
 この新技術を開発したことにより、これまでの肌の上部だけではなく、肌の奥を加えた肌全体でのシミ美白対応が確立でき、さらに進化した美白スキンケア化粧品の開発を進めていきます。
 この研究成果の一部は、11月3日からインド・ニューデリーで開催される「第5回アジア色素細胞学会(5th Asian Society for Pigment Cell Research)」で発表する予定です。

 *「図5」は下記【関連資料】「図1~5」を参照

※リリースの詳細、「図1~5」は【関連資料】をご参照ください

【関連資料】
◎リリースURL/PDF
http://group.shiseido.co.jp/releimg/2059-j.pdf

◎株式会社資生堂:公式サイト
http://group.shiseido.co.jp/index.html

2012年09月07日 12:32

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