カシスアントシアニンの摂取により、動体視力の低下を改善する可能性を研究で解明
森下仁丹株式会社は、国立大学法人大阪大学の蛋白質研究所(以下「大阪大学蛋白質研究所」)との共同研究により、同社が販売する機能性原料「カシスエキス(カシスアントシアニンを含む抽出物)」に、動体視力に関わる重要な要素である「コントラスト感度」を改善する作用があることを、マウスを用いた試験で明らかにしました。

同研究成果に基づき、同社と大阪大学蛋白質研究所は共同で特許を出願しており、2025年11月12日付で公開されました。同研究成果は、国際的な科学誌『Neuroscience』にも掲載されています。
同社は、同研究成果を同社の原料ビジネスや製品開発等につながるエビデンスとして活用し、機能性原料「カシスエキス」の供給を拡大することで、人々の健康的な生活に貢献してまいります。
■研究の背景
ヒトの視覚は、感覚の中でも外界情報の多くを担っており、非常に重要な感覚です。特に、動く物体を捉える運転やスポーツ等をする際には、「動体視力」は不可欠です。しかし、この動体視力は加齢とともに低下することが知られています。
カシスは、ベリー類の中でも特に豊富なアントシアニンを含有し、古くからその健康効果が期待されてきました。特に、他のベリー類にはほとんど含まれないデルフィニジン-3-ルチノシド(D3R)とシアニジン-3-ルチノシド(C3R)という特有のアントシアニンを豊富に含むことが知られています。
同社は、このカシス特有のアントシアニンに着目し、大阪大学蛋白質研究所と共同で視覚機能、特に動体視力への影響について研究を進めてまいりました。
■研究概要・方法
同研究では、カシスエキスが加齢マウス(21~24ヶ月の雄マウス)の視覚機能(動体視力)に与える影響を、以下の2つの方法で検証しました。
方法①:カシスエキス/カシスパウダーの飼料投与
マウスを以下の3群に分け、それぞれを1ヶ月(30日間)にわたり自由摂取させました。
- カシスエキス (同社原料)2%含有飼料 投与群
- カシスパウダー2%含有飼料 投与群
- 通常の飼料 投与群(コントロール)

方法②:カシスアントシアニン(D3R, C3R)の経口投与
別のマウスを以下の3群に分け、それぞれ1日おきに1ヶ月(30日間)、経口投与しました。
- D3R(デルフィニジン-3-ルチノシド)投与群
- C3R(シアニジン-3-ルチノシド)投与群
- 水 投与群(コントロール) ※1、2は水に溶かしたものを投与

各実験において、投与1ヶ月後に、動く視覚刺激(縦縞模様)に対するマウスの反射的な眼球運動である「視運動反応」を測定することで、動体視力を評価しました。
■主な結果・成果
1. 飼料投与(方法①)の結果
カシスエキスを投与した群は、通常の飼料 投与群と比較して、明暗の差(白黒)を見分ける能力である「コントラスト感度」が有意に改善しました。一方、カシスパウダー群では、カシスエキス群ほど顕著な改善は見られませんでした。
2. 経口投与(方法②)の結果
アントシアニン単体(D3R, C3R)を直接経口投与した実験では、D3R(デルフィニジン-3-ルチノシド)を投与した群が、対照群(水)と比較してコントラスト感度が最も有意に改善しました。C3R群にはD3Rほどの顕著な改善は見られませんでした。
これらの結果から、カシスパウダーやC3R単体よりも、カシスエキス(同社原料)、特にその主要成分であるD3Rが、コントラスト感度の改善に強く寄与している可能性が示唆されました。
■考察・今後の展望
今回のマウスを用いた研究により、同社の機能性原料「カシスエキス(カシスアントシアニンを含む抽出物)」が、動体視力に関わる「コントラスト感度」を有意に改善することが実証されました。これは、エキスに含まれるカシス特有のアントシアニン、特にデルフィニジン-3-ルチノシド(D3R)による作用と考えられます。
この「コントラスト感度」の向上は、わずかな明暗差でも物体を素早く識別できる視覚能力を高めます。その結果、スポーツではボールの軌道や回転の把握が向上し、自動車運転では雨天・夜間など視界が悪い状況でも歩行者を発見しやすくなります。
さらに、eスポーツや精密作業のような高速視覚処理が求められる場面でも反応精度を高め、パフォーマンスと安全性の向上に寄与することが期待されます。
同社は、同研究成果および共同出願した特許(※)を基盤として、カシスエキスの機能性に関するエビデンスを強化し、食品・サプリメントメーカー等への原料ビジネス展開と、自社製品の開発及び販売を一層加速させてまいります。また、将来的にはヒトでの臨床試験も視野に入れ、機能性表示食品の開発など、さらなる応用を目指して研究開発を継続します。
(※)特許出願情報
発明の名称:[動体視力向上用組成物]
出願番号:[特願2024-073630]
出願人:森下仁丹株式会社、国立大学法人大阪大学
■掲載論文情報
雑誌名:Neuroscience
論文名:Blackcurrant anthocyanins improve visual contrast resolution for optokinetic responses in aging mice
論文著者名:Yuko Sugita, Koki Kobayashi, Hung-Ya Tu, Daisuke Okuzaki, Takahisa Furukawa
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0306452225009170













