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脂肪酸とコレステロール合成の切り替えスイッチの発見に成功/京都大学

京都大学 尾野亘 医学研究科講師、堀江貴裕 同助教、西野共達 大学院生らの研究グループは、脂肪酸とコレステロール合成の切り替えスイッチの発見に成功しました。この研究成果は、英国科学雑誌「Nature Communications」誌のオンライン版に掲載され、安全な動脈硬化改善薬の開発に期待されています。

◎背景
マイクロRNA(miRNA、miR)は22塩基程度の小さなタンパクをコードしないRNAであり、標的メッセンジャーRNAの翻訳に抑制的に作用します。またマイクロRNAは発生や分化の過程のみならず、心血管疾患の発症や進展にも深く関与していることが知られています。

 これまでに脂肪酸の合成とコレステロールの合成は同じアセチルCoAを原料として進むことが知られており、それぞれ特異的な転写因子sterol regulatory element-binding protein(SREBP;ステロール調節配列結合蛋白)-1とSREBP-2によって促進されることが示されてきました。これらのSREBPのクローニング、機能解析を行ったのは、Goldstein テキサス大学教授およびBrown 同教授(1985年ノーベル医学・生理学賞受賞者)の研究グループです。実際、彼らによって、SREBP-2が細胞内のコレステロールの低下を感知して合成および活性化され、コレステロール合成や取り込みに関わる遺伝子を上昇させて、細胞がコレステロール不足になることを防ぐことが証明されました。しかしながら、SREBP-1とSREBP-2の直接の相互作用については明らかではありませんでした。

 2010年に、本研究グループを含む複数の研究グループによって、miR-33を抑制すると、その標的遺伝子であるATP-binding cassette transporter A1(ABCA1)が上昇し、HDLコレステロールが上昇することが報告されました。実際にmiR-33を抑制すると動脈硬化が改善するため、現在はmiR-33の抑制薬の研究開発が進められています。しかしながら、マイクロRNAは数百の標的遺伝子に作用することが知られており、長期的な完全なマイクロRNAの抑制がどのような結果を起こすかは全く不明です。

 今回、本研究グループは、miR-33欠損マウスが肥満症と脂肪肝を呈することを見出し、その原因として、miR-33がSREBP-1を抑制する働きがあることを明らかにしました。miR-33はSREBP-2遺伝子のイントロンにあり、同時に発現されることから、SREBP-2はmiR-33を介してSREBP-1を抑制するという、直接の相互作用があることが示されました。すなわち、(1)コレステロール欠乏時にはSREBP-2とともにmiR-33が増加してSREBP-1を抑制することにより脂肪酸合成を低下させ、原料のアセチルCoAをコレステロール合成に使う。また、コレステロール過剰の際にはSREBP-1の抑制が解除されてアセチルCoAから脂肪酸合成が進むことになります。さらにこの知見は、 (2)miR-33の抑制による動脈硬化治療の安全性を高める方法の開発につながると考えられます。

※詳細は下記URLをご参照ください
◎京都大学 2013年12月3日発表
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2013_1/131203_2.htm

2013年12月04日 11:52

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