富士フイルム株式会社は、優れた抗酸化力を有することで知られる成分「アスタキサンチン」をマウスに摂取させる実験を、京都大学農学研究科 菅原教授との共同研究で実施し、「アスタキサンチン」を摂取すると、紫外線UVA(以下、UVA)を長時間照射しても、(1)肌のシワ形成が抑制されること(図1)、(2)経皮水分蒸散が抑制されること(図2)を確認しました。
本研究内容を、平成26年10月14日からトルコ(イスタンブール市)で開催される栄養補助食品・機能性食品国際学会(ISNFF)2014年大会にて発表する予定です。
「アスタキサンチン」は自然界に広く分布している天然由来の抗酸化成分で、サケやエビ、カニなどに多く含まれるカロテノイドの一種です。ヘマトコッカス藻あるいはオキアミを原料とした「アスタキサンチン」が、機能性食品の原材料として使われています。トマトのリコピンや人参のβ‐カロテンなどのカロテノイドは活性酸素を消去する「抗酸化作用」をもつ成分として知られていますが、「アスタキサンチン」は、これらのカロテノイドよりも強い抗酸化作用をもつ成分として、注目されています。
同社はこれまでに、「アスタキサンチン」が、CoQ10の約1,000倍以上(*1)もの抗酸化力を持つことを実証してきました(*2)。このほか、「アスタキサンチン」には眼精疲労の回復作用(*3)や筋肉疲労回復作用(*4)などさまざまな効果効能があることが報告されており、同社は、その優れた抗酸化力に着目して化粧品やサプリメントへの応用開発を進めています。
■実験内容
マウスを「(1)UVA照射なし群(対照群)」、「(2)UVA照射群」、「(3)UVA照射+アスタキサンチン摂取群」の3つの群に分け、次の手順で実験を行い、シワの面積率と経皮水分蒸散量を測定しました。
「UVA照射群」および「UVA照射+アスタキサンチン摂取群」には、5日間連続で、背中の20cm上から、1日当たり20J/cm2のUVAを照射。その後、2日間照射を止める。
上記を10週間継続して繰り返す。
※「UVA照射なし群(対照群)」、「UVA照射群」には通常餌を、「UVA照射+アスタキサンチン摂取群」には、アスタキサンチンを0.01%配合した餌を1日当たり約4g、それぞれ自由摂取させる。
■実験成果
「アスタキサンチン」の摂取により、皮膚にダメージを与えてシミ・シワ・たるみなどの原因となるUVA照射時に、肌のシワ形成が抑制されること、経皮水分蒸散が抑制されることを確認しました。
■考察
今回確認できた、「アスタキサンチン」によるシワ形成の抑制効果は、UVAにより皮膚の真皮に発生する活性酸素を優れた抗酸化力を有する「アスタキサンチン」が除去することによるものと推察しています。活性酸素は、肌を支える真皮のコラーゲン線維やエラスチン線維を分解する酵素の産生を促すことにより、真皮の構造を劣化させ、その結果、シワを形成させます。
また、経皮水分蒸散量抑制効果は、「アスタキサンチン」が表皮のバリア機能を維持するために重要なセラミドに影響を与えているのではないかと推察しています。
同社は今後も、「アスタキサンチン」の美容・健康における効果効能やメカニズムについて研究を進め、化粧品やサプリメントの開発に応用していきます。
*1 CoQ10(酸化体)に対して1,000倍以上。CoQ10は、人の細胞中に存在する補酵素で、細胞を活性化させ人体のエネルギー生産に不可欠な成分。抗酸化作用により、活性酸素を除去する働きもあると考えられ、肌美容への効果も 期待されています。
*2 同社調べ J. Mori, H. Yokoyama, T. Sawada, Y. Miyashita and K. Nagata, Mol. Cryst. Liq. Cryst. 580(1),2013, 52-57
*3 アスタキサンチンの効果は数多く報告されており、ピント調節力が改善する(富山医科薬科大学眼科による試験)、ピント調節にかかる時間が短い(藤田保健衛生大学眼科による試験)などが報告されています。
*4 澤木啓祐「アスタキサンチンのスポーツパフォーマンスにおよぼす影響」臨床医薬、18、1085、2002で運動選手の筋肉疲労の回復が早まる、などが報告されています。
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※詳細は下記URL(PDF)をご参照ください
◎ 富士フイルム株式会社 2014年9月18日発表
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_0914.html
◎ 富士フイルム株式会社 公式サイト
http://www.fujifilm.co.jp/