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日本健康・栄養食品協会/トクホ申請のための講習会を開催

(財)日本健康・栄養食品協会特定保健用食品部は8日、「第2回特保申請担当者講習会」をフィオーレ東京(東京都新宿区)で開催した。特定保健用食品の申請に関する講習が行われ、加えて、厚生労働省からアガリクス問題の報告がなされた。   挨拶に立った厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品開発室・北島智子室長は、先般のアガリクス含有製品に関する動きを説明。製品の販売停止、回収に至った「細胞壁破砕アガリクス顆粒」(キリンウェルフーズ社)について、「遺伝毒性試験では、復帰突然変異試験、染色体異常試験で陽性だったが、小核試験では陰性だった。この結果をもって毒性ありとは断言できないが、毒性がないとも言えず、今回の処置に至った」とした。また、(1)アガリクスを含む製品全体に発がん促進作用が疑われるものではないこと、(2)発がんプロモーション作用とアガリクスに含まれるアガリチンの関係は不明であること、(3)あくまで動物試験の結果であり、ヒトに対してただちにガンを引き起こすという結果ではないことを改めて強調した。(2)については、一連の追加試験を開始したことも明らかにした。また、3製品とも肝障害は確認されていない。   さらに、今回のアガリクス報道により、「該当企業には風評被害によって迷惑をかけている」(北島室長)と現状を報告。2月13日の発表後、厚生労働省に入った電話相談件数は、翌14日に730件、翌々15日に700件となり、28日までの累計は約2,444件にのぼったことを明かした。相談内容は「自分(または身内)が食べているものは大丈夫か」、「試験対象の3製品ではないが食べて大丈夫か」、「3製品以外も調査しないのか」が多い。厚労省ではこれらの相談に対し、前述の説明をするとともに、特に「仙生露顆粒ゴールド」(SSI社)と「アガリクスK2ABPC細粒」(サンヘルス社)については、「実施中の中長期多臓器発がん試験でも、現段階において問題となる所見はみられない。何も試験を実施していないものに比べて安全性の確認は進んでいる」とする。メーカーが行ってきた種々の試験についても評価し、その内容を消費者へ知らせるよう企業側に伝えている。   続いて、厚労省医薬食品局食品安全部基準審査課食品保健対策室・北村洋子特定保健用食品審査官が「特定保健用食品の現状について」とし、制度のあらましを解説。その後、「特保製品開発の経験から」と題して、花王(株)ヘルスケア第1研究所健康機能評価センター・森健太グループリーダーと(株)ヤクルト本社中央研究所研究管理部研究企画課・木村雅幸主任研究員が、それぞれ自社製品のトクホ取得経緯を公開した。   花王(株)森グループリーダーは、高濃度茶カテキンを含む「ヘルシア」について、製品発売後もヒト試験によるメカニズム解明を続けてその結果を明確に示したことで、昨年12月に「本品は茶カテキンを豊富に含んでおり、エネルギーとして脂肪を消費しやすくなるので、体脂肪が気になる方に適しています」という従来にないクレームが許可されたことを紹介。メカニズムに踏み込んだ記述により、消費者に対してよりわかりやすい表現が可能になったとした。   (株)ヤクルト本社・木村主任研究員は同社「プレティオ」の開発経緯を発表。同製品はトクホ申請から許可までにおよそ3年を要した。この間のエピソードとして、血圧ラット自然発症ラット(SHR)を用いて行った血圧上昇抑制作用の確認データについて、研究上通例とされる概念からはずれた質問を調査官から受けて驚いたことなどを明かした。   講習会の最後には、日健栄協が「特定保健食品の開発・申請マニュアル」改訂版の出版を報告した。また、トクホ申請の審査レベルが高まっていることから、協会では学術専門委員の協力を得るなどして、企業のトクホ企画・開発から申請に至るまで、各段階での支援を積極的に行っていることを紹介した。

2006年03月10日 09:52