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バイオラジカル研究所 / 抗酸化を測定する大学発のベンチャー設立

(株)バイオラジカル研究所(本社神奈川県横浜市、前田泰一社長)は18日、同社の設立を記念するセミナー「電子スピン共鳴法(ESR法)による飲食料品の抗酸化能評価の有用性と実際」を開催した。  セミナーでは神奈川歯科大学生体管理医学講座薬理学分野ESR研究室・李昌一教授が講演。抗酸化能や活性酸素の解説を行った上で、教授を中心に、同社で行うESR法の特徴を「フリーラジカルの量を直接的かつ特異的に検出可能な方法」(李教授)として紹介した。  活性酸素や抗酸化能については、統一された測定方法がないのが現状。生体内のフリーラジカル量は正確には測定することが難しく、推測の域を出ていない。ESR法以外の測定方法は、酸化されることにより生成された物質などの量を測ることにより、間接的に活性酸素の影響を把握している。また、測定された数値に関しても、どの活性酸素種に対しての抗酸化能かが曖昧な場合が多かった。  一般に活性酸素と呼ばれるものには複数種ある。対の電子を有する通常の分子構造と異なり、電子が不対で不安定なフリーラジカルが含まれる。なかでも “悪玉”と位置づけるのは、ヒドロキシラジカルと一重項酸素。ヒドロキシラジカルは酵素たんぱく質や核酸などに反応し、消去するための抗酸化酵素が体内に存在しないため、様々な活性酸素種由来の疾患に最も関わるとされている。また、一重項酵素は酸素が光などのエネルギーを吸収することで発生。不対電子ではないが反応性は高く、紫外線によって皮膚下組織に発生しやすい。  ESR法では活性酸素種のなかでもフリーラジカルであるスーパーオキシド、ヒドロキシラジカルの量を測定できる。一重項酸素に関しても、電子のスピン方向が他のものと異なるため、検出が可能になる。  具体的な方法は、補足剤に不安定なラジカルを補足させ、より安定なラジカルに変換して解析するスピントラップ法と、安定なラジカル種を標的分子に結合させてスペクトルを測定しラジカル周辺の分子情報を解析するスピンラベル法の2つ。前者はフリーラジカルの特異的な検出、後者は生体内レドックス反応(酸化還元反応)の評価が行われる。特に後者は生体内での測定が可能だ。現在はマウスやラットによる評価だが、李教授は「目標はヒトでの測定を可能にする装置の開発」と語る。  同社は活性酸素の検出技術の成果を事業化するため、14日に創立したばかり。今後は研究成果を利用した抗酸化機能評価試験事業を確立し、食品開発を支援したいとする。ESR法以外の検出装置、技術も有しており、それらから得られたエビデンスに基づく製品開発のコンサルティングも行っていく予定。

2006年04月21日 10:00