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サントリー / 第60回日本栄養・食糧学会大会で各種発表

 サントリー(株)健康科学研究所(所在地大阪府三島群、木曽良信所長)は、19~21日に行われた第60回日本栄養・食糧学会大会で、下記演題の発表を行った。発表した演題は、「ウーロン茶重合ポリフェノールの抗肥満作用の検証」、「食事中n-6及びn-3系脂肪酸と血液中のアラキドン酸組成との関連」、「植物性乳酸菌S-PT84株および胡豆昆発酵物の細菌感染抑制作用」など。
 「ウーロン茶重合ポリフェノールの抗肥満作用の検証」では、マウスを(1)普通食摂取群、(2)高脂肪・高ショ糖食摂取群、(3)高脂肪・高ショ糖食摂取+0.1%ウーロン茶重合ポリフェノール摂取群、(4)高脂肪・高ショ糖食摂取+0.5%ウーロン茶重合ポリフェノール摂取群の4群に分け、12週間飼育し、体重、脂肪重量を測定した。その結果、高脂肪・高ショ糖食摂取群は普通食摂取群に比べ明らかな肥満になったのに対し、高脂肪・高ショ糖食摂取+ ウーロン茶重合ポリフェノール摂取群は、体重・脂肪量の増加が抑制された。抑制効果はウーロン茶重合ポリフェノールが高含有になるほど高かった。
 「食事中n-6及びn-3系脂肪酸と血液中のアラキドン酸組成との関連」では、若年女性30名(20.0+1.5歳)、高年男性22名(67.1+ 4.3)を対象に、連続28日間の食事調査と、食事調査後に血液を採取し、赤血球の膜に含有されるリン脂質中の脂肪酸組成の分析を行った。なお、アラキドン酸とは身体組織を構成する主要な多価不飽和脂肪酸の1つで高齢者の脳の働きに重要な役割を果たすもの。試験の結果、高年男性の方が若年女性よりアラキドン酸を有意に多く摂取しているにも関わらず、赤血球膜リン脂質中のアラキドン酸は高年男性の方が有意に少なくなっていることが確認された。この結果により、加齢するに従ってアラキドン酸を摂取する必要性が示唆された。
 「植物性乳酸菌S-PT84株および胡豆昆発酵物の細菌感染抑制作用」では、コレラ毒素に対する腸管免疫作用を検証する試験と、サルモネラ菌に対する感染抑制作用を検証する試験を行った。なおS-PT84株とは、同研究所が約1000株の乳酸菌の中から最も優れた免疫機能改善作用を有するとして選定したもの。また胡豆昆発酵物とは、S-PT84株により胡麻・大豆・昆布を発酵させたもの。
 コレラ毒素に関する試験では、マウスを(1)通常飼料を摂取するコントロール群、(2)S-PT84株(0.2mg/1日相当)配合飼料摂取群、(3)胡豆昆発酵物(133.3mg/日相当、S-PT84株として0.2mg/日相当)配合飼料摂取群の3群に分け1週間飼育し、コレラ毒素を経口投与した。その結果、コントロール群と比較してS-PT84株配合飼料摂取群は約3倍、胡豆昆発酵物配合飼料摂取群は約6倍に特異的IgA(免疫力、特に腸管免疫力の指標の1つ)量が上昇、コレラ毒素に対する腸管免疫が増強していることが明らかとなった。
 サルモネラ菌に関する試験では、マウスを(1)通常飼料のみを摂取する非感染群、(2)通常飼料を摂取しサルモネラ菌を経口的に感染させるコントロール群、(3)S-PT84株(0.2mg/日)配合飼料を摂取しサルモネラ菌を経口的に感染させる群(4)胡豆昆発酵物(133.3mg/日)配合飼料を摂取しサルモネラ菌を経口的に感染させる群の4群に分け、26日間飼育した。
 その結果、実験終了時にコントロール群では生存率が低下したが、S-PT84株群または胡豆昆発酵物摂取群は全てのマウスが生存していた。さらに糞便中、および脾臓中に移行して存在するサルモネラ菌の数を調べたところ、コントロール群と比べてS-PT84株群または胡豆昆発酵物摂取群は有意に菌数が減少。減少量は胡豆昆発酵物摂取群の方がより多かった。また特異的なIgA産生量は、S-PT84株または胡豆昆発酵物摂取群がコントロール群より上昇した。以上の結果から、S-PT84株または胡豆昆発酵物は腸管免疫機能が活性化され、食中毒から身体を守れる可能性が示唆された。

2006年05月26日 10:00