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ライオン / ラクトフェリンに歯周病改善効果ありと学会発表

 ライオン(株)(本社東京都墨田区、藤重貞慶社長)は、4月28~29日に行われた「第49回春季日本歯周病学会学術大会」で、遺伝子解析手法による歯周病による歯肉ダメージのメカニズム解析の結果と、ラクトフェリンが歯周病菌の出す毒素を解毒し、炎症の進行を抑制することを発表した。この研究は、東京医科歯科大学・石川烈名誉教授と、(株)ジェネリックラボと共同で行った。研究の背景には、歯周病菌を殺菌しても、菌が産生した毒素が残存していると歯周病の症状が進行する原因となることがある。
 まず、歯周病原因菌の生み出す毒素“LPS”と歯肉炎の進行との関係を確認するため、ヒト歯肉線維芽細胞を“LPS”添加群と無添加群に分け、 DNAマイクロアレイ解析により数万に及ぶ遺伝子の網羅的比較解析を行った。その結果、“LPS”添加群ではコラーゲンの分解を促進する酵素の遺伝子の発現量が増え、コラーゲンの合成を促進する酵素の遺伝子の発現量が減ることが分かった。つまり“LPS”はヒト歯肉線維芽細胞でのコラーゲンの合成を抑制し、分解を亢進することで歯肉組織を破壊に導くというダメージメカニズムが明らかになった。
 次に“LPS”を解毒する物質の検索を、ライオン(株)の歯周病予防シーズデータベースのうち天然成分120以上の候補物質の中から行った結果、牛乳・母乳などに含まれるタンパク質である“ラクトフェリン”が有効だと見出した。そこで“LPS”でダメージを与えたヒト線維芽細胞に “ラクトフェリン”を添加し、コラーゲン分解に関わる酵素“MMP-1”の量と“Ⅰ型コラーゲン(歯肉を構成するコラーゲン)”の量を測定した。その結果、“ラクトフェリン”が、“LPS”でダメージを受けたヒト線維芽細胞の“MMP-1”の量と“Ⅰ型コラーゲン”の量を正常レベルに改善し、“ラクトフェリン”には“LPS”の解毒能力があることが明らかになった。

2006年05月17日 10:00