NNFAジャパンは7日、「2006年度第1回公開セミナー」を開催した。
最初に登壇したのは、トヨタマ健康食品(株)の野田信三マネージャー。「桑の葉の保健用途」について講演した。まず桑の葉の一次機能として食物繊維が36%、タンパク質が19%含まれ、タンパク源として期待できると述べた。タンパク質のアミノ酸組成は人血漿と組成が近く、アミノ酸スコアが81と優良だと強調。またミネラル源としても有効だと説明した。二次機能としては茶の品質の指標であるAFスコアが49で、焙煎するとさらにスコアが上がるため、日本茶のスコアである50点以上をクリアできるとした。
三次機能としては、メタボリック・シンドロームに対して効果があるとした。まず、肥満改善効果としては、BMI30以上の学生35人に2ヵ月、食事コントロールなしで行った臨床試験では、体重で3%以下の減少が55%、3%以上の減少が25%、ウエストで5%以下の減少が35%、5%以上の減少が見られ、ゆえに内臓脂肪の減少に寄与すると言明。次に16週間行ったウサギ30匹にコレステロール1%を含むエサを与えた群とコレステロール1%プラス桑葉2.5%を含むエサを与えた群に分け、総コレステロール値と中性脂肪値を測定した。その結果、桑葉なしの群では総コレステロール値が16週間で2570mg/dlまで達したのに対し、桑葉ありの群は1323 mg/dlに過ぎなかった。また中性脂肪(トリグリセライド値)は桑葉なし群では16週間で397mg/dlに達したが、桑葉あり群では増加しなかった。24人に行った桑葉を摂取する臨床試験では、摂取前に237 mg/dlあったトリグリセライド値が1ヵ月後に170まで下がった。またHDLコレステロール(善玉コレステロール)は77 mg/dlから3ヵ月後に81 mg/dlに改善された。
自然発症高血圧ラットで行った試験では、16週間後に対照群が最低血圧145mmHgを示したのに対し、桑葉を2.5%と5%含有したエサを与えた群では有意に最低血圧を抑制した。また、正常ラットの血圧に対して桑葉摂取は何の影響も与えなかった。ただし、血圧降下の作用機序は明らかになっていないという。
また、最近の研究で、桑葉の有効成分“DNJ”が血糖値の上昇を抑制し、糖尿病を予防する効果があることも明らかになっているという。その作用機序は、糖分解酵素(α-グルコシターゼ)の働きを阻害することによってブドウ糖の生成を抑え、血糖値の上昇を抑制するというもの。吸収されなかった糖は腸内細菌に作用し、便秘を改善するなど整腸作用が期待できる。ただし、ブドウ糖などには作用しないため、過剰な低血糖になることはない。さらに平均年齢52歳の計95名の男女に、桑茶摂取のアンケート調査も実施している。平均飲用量は6.2g/日で、平均飲用期間は2年。その結果、女性の50%、男性の30%以上が便秘が改善されたと回答している。
次いで「n-3系高価不飽和脂肪酸と認知症」をテーマに、島根大学医学部・環境生理学・橋本道男助教授が講演を行った。「DHAは脳の発達期にのみ有効であり、成熟動物は影響を受けない」、「EPAは脳内に取り込まれない」という論文発表があることから、DHAとEPAの脳に及ぼす作用について検証した。まず、4週間、5週齢と100週齢のラットを用いて放射状迷路の課題をDHA300mg(体重1kgに対し)を摂取させ1日2試行し、参照記憶エラー数(ペレットの置いていないアームに侵入した回数)を測定した。その結果、参照記憶エラー数は5週齢、100週齢共にDHA摂取群は減少し、記憶・学習能力が向上することが分かった。また大脳皮質・海馬のDHA量が増えることで、大脳皮質の過酸化脂質が減少、抗酸化機能を増強し、酸化ストレスを減少させ、アルツハイマー病を改善するとした。
また、DHAを膜リン脂質へ取り込むことにより、神経保護作用(抗アポトーシス)で、β-アミロイド蛋白による細胞死からの保護ができるとした。さらに島根県の「認知症と食事栄養に関する疫学調査」で認知症と魚油の摂取量に逆相関関係があるという結果が出たことを発表。また自治医科大学神経内科が行った介入的研究では、魚を1日最低1回・80~90g、緑黄色野菜を1日最低2回、果物を1日最低2回摂取を遵守した群は非介入群に比べ認知症発症率の有意差が出たことを明らかにした。そして、DHA・EPAは神経幹細胞のニューロンへの分化誘導とニューロンの軸策伸張を促すことから、中枢神経ニューロン再生は可能であると結論付けた。
NNFAジャパン / メタボリック・シンドローム、認知症などテーマにセミナー開催
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