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東京海洋大学 / 第5回ホスファチジルセリン(PS)研究会を開催

第5回ホスファチジルセリン(PS)研究会 第5回ホスファチジルセリン(PS)研究会が11月24日、東京都・品川の東京海洋大学品川キャンパスにおいて開催された。
 開会の挨拶で、ホスファチジルセリン研究会会長の安藤進氏(元東京都老人総合研究所副所長)は、研究会セミナーに先立って行われた総会にて研究会の名称を「健康・長寿研究談話会(旧ホスファチジルセリン研究会)(仮)」と変更する案が承認されたことに触れた。また、「健康寿命は平均寿命より7~8年短いといわれている。長寿かつ健康でいる方法を議論する会にしたい」と述べた。
 続いて韓国DOOSAN Corporation(株式会社斗山)R&D CENTERのDr.Jeong Jun Hanが「ホスファチジルセリンの肌美容効果」について講演。PS水分散液を2週間にわたってマウスの皮膚に塗布した結果、陰性対照群(ブランク塗布群)と比較してタンパク質の発現量が大幅に増加した、と発表した。また、無毛マウスにPSを経口投与し表皮に損傷を与えた実験では、3週間後の皮膚バリア機能修復率が高かったとした。
 次にお茶の水女子大学理学部生物学科・小林哲幸助教授(12月1日をもって教授)は「環状ホスファチジン酸(cPA)の代謝と機能(がん細胞の浸潤抑制)」について発表。哺乳動物血清中でのcPA生合成酵素としてAutotaxinが主要な役割を果たすことを明らかに。また、がん細胞の浸潤を誘導するLPAの構造類似体であるcPAが、がん細胞の浸潤を抑制する作用をもつことを、ラット腸間膜の中皮細胞にMM1(がん細胞)を重層して中皮細胞下に進入したがん細胞数を測定することによって確認した。
 次いで湧永製薬株式会社ヘルスケア研究所・守口徹氏は「ホスファチジルセリン結合型DHAの脳への作用」と題して発表を行った。この中で、ヒト介入の実験では、現在使用禁止となっているウシ脳の皮質から精製・抽出されたPS(BC-PS)が、その代替品として用いられている大豆レシチン由来のPS(soy-PS)よりも際立った効果を示していることについて述べた。また同研究所において、イカのリン脂質を使って生成したPS-DHAを用いたステップスルー実験により、「PS-DHAはBC-PSの代替として有効性を示す可能性があると考えられる」とした。また、胎児期の健全な脳育成におけるDHA吸収の重要性の観点から、母体のn-3系脂肪酸摂取が重要であることを強調。さらにPS-DHAと魚油由来のTG-DHA、および溶媒としてサフラワー油(n-6系脂肪酸)と亜麻仁油(n-3系脂肪酸)の各組み合わせをn-3系脂肪酸欠乏マウスに与え、そのマウスから生まれた新生仔の脳内DHAを測定。その結果「TG-DHAよりもPS-DHA、サフラワー油よりも亜麻仁油のほうがDHA濃度を有意に上昇させた」とした。
 このほか、ドイツ・Cargill Food Ingredients GmbhのDr. Karl-Heinz Zirzowが、学生に対して行った遅延聴覚フィードバックによるテキストリーディング、EEG(脳波)マッピングなどの実験結果を発表。PSのサプリメントが脳の活動性を高め、精神的ストレスを軽減させると説明した。

2006年11月28日 10:30