富士フイルム(株)(本社東京都港区、古森重隆社長)はライフサイエンスの長年にわたる研究や技術を活かし、スキンケア化粧品とサプリメントの自社ブランド製品を開発、9月28日に自社通信販売限定で発売した。同時に11月8~10日に開催される「ifia / HFE OSAKA 2006」にも出展し、同社の高い技術によって“アスタキサンチン”をナノ粒子化し、極薄の皮膜で覆いナノ乳化させた素材などを展示する。 9月に発売となったのは、機能性スキンケア化粧品第一弾「エフ スクエア アイ」シリーズ3製品と、機能性体内ケア食品第一弾「エフ キューブ アイ」シリーズ9製品。長年写真感光材料や技術の研究を重ねてきた同社には、20万種におよぶ有機化合物のデータが集積されており、分析や解析のエビデンスをもった「化学薬品メーカー」であるという一面を持つ。したがって化粧品や食品の機能性などに関して、ゼロからのスタートではなく、ごく自然な形で製品の開発を手掛けることができたという。 デジカメ全盛の現在、同社は写真フィルムの事業を縮小すると同時に、ヘルスケア事業を3年後には売上高100億円、中長期的には数千億円という基幹事業のひとつに据えたいという。その第一歩がライフサイエンスの技術とノウハウを活かして開発した、“内外ケア”製品である上記化粧品とサプリメントのシリーズだ。 同社がまず他社の追随を許さないのは、フィルム開発で培ったミクロ技術。カラーフィルムはわずか15ミクロンのベースに十数もの層が塗布され、ある特定の層だけを発色させ、任意のケミカル物質を目的の場所で反応させるなどの高度な技術を要する。天然由来成分などもこの高度な技術を駆使することで、「最適な状態で吸収・浸透を促し、その有効性を最大限に引き出す」ことが可能となるという。 このミクロの技術は成分のナノ分散や、ナノ化した成分が再び結合しないための乳化技術、水分による変性や熱変性、酸化を制御して成分を安定させる技術、油脂成分を可溶化する技術などの多様なテクノロジーを生んできた。 同社はこのテクノロジーをコンセプト化し、FTD技術すなわち「機能的に配合した成分もしくは素材を(Formulation)、新鮮なまま安定した状態で狙った場所に(Targeting)、タイミングよく適量届けて効果を持続させる(Delivery)」と呼ぶ。またフィルム感光技術は「酸化と還元」であり、写真化学の原理は物質劣化の原因となる活性酸素の制御が必須となる。この目的で同社が開発してきた有害な活性酸素を抑える技術が、抗酸化作用やメタボリックシンドロームの予防といったヘルスケアの分野でも大いに活かせるというわけだ。 上記12製品は最適な比率で成分を配合し、最も高い活性を示すような吸収率、浸透率を追及した、FTD技術の具現化であるといえよう。いかに抗酸化機能の高い成分であってもその分子が大きいことで吸収性が低くては十分にその機能を活かすことはできず、安定した環境で体内に成分を届けることもできない。同社は高度な技術によって他社との差別化を図ることでアンチエイジングや健康維持を実現し、消費者のQOLの向上に寄与する事業展開と、さらなる高度先進医療への技術革新を進めていきたいとしている。 さらに写真フィルムの原料は“ゼラチン”であり、“コラーゲン”の研究に関するパイオニアでもある。最近の研究成果としてはヒトとまったく同じ“コラーゲンペプチド”を遺伝子工学で創ることに成功しており、これをスキンケア製品の開発や医薬品分野での応用研究に活用していく。 「エフ スクエア アイ」シリーズはスキンケア3製品で、「インフィルトレートローション(保湿化粧水)」税込価格150ml・6300円、「クレンジングジェル」税込価格120g・3800円、「モイスチャーライジングクリーム」税込価格50g・8400円。保湿化粧水には15種類のアミノ酸やヒアルロン酸を配合、素早く肌に浸透しうるおいを保つ。 「エフ キューブ アイ」シリーズは“ビタミンE”の約1000倍の抗酸化力をもつとされる“アスタキサンチン”、“ヒアルロン酸”、“マリンコラーゲン”、“柑橘系ポリフェノール”を配合した飲料「赤でBeauty No11」税込価格50ml入り×10本・3500円のほか、メンタル系、ベーシック系、美容系といった目的別に9種のサプリメントを発売、徐々にラインアップを増やしていく予定だ。
富士フイルム / ライフサイエンスの最先端技術を活かしヘルスケア分野に本格参入、ifia大阪にナノ分散・ナノ乳化素材を出展
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