日健栄協は25日、「平成19年度日本健康・栄養食品協会交流会」を東京・日本青年館ホテルで開催、セミナーを行った。
森永乳業(株)栄養科学研究所・高瀬光徳所長は「基礎研究データを『健康食品』の開発にどう活用するか-ラクトフェリンの開発を中心に-」をテーマに講演。基礎研究とは、(1)素材の発見・分離・同定、(2)素材の分子化学的性質の研究、(3)素材の有する機能に関するin vitro及びin vivoでの研究、(4)素材の安全性の研究であるとし、中でも(4)が重要だと位置付けた。基礎研究で示唆された“ラクトフェリン”の機能を元に、さまざまなヒトによる安全性と有効性の検討の臨床試験(応用研究)を行っていることを述べた。
基礎研究で示唆された“ラクトフェリン”の機能としては、(1)抗菌・抗ウイルス作用、(2)ビフィズス菌増殖作用、(3)鉄吸収調節作用、(4)抗酸化作用、(5)抗炎症作用、(6)細胞増殖作用、(7)免疫賦活作用、(8)骨量増強作用を挙げた。安全性研究においてもラットによる単回経口投与試験で最大投与量2000mg/体重1kgで異常なし、ラットによる13週間反復経口投与試験で無毒性量は体重1kgあたり2000mgを上回ることが分かっている。この2000mgという数値は、ラットに投与できる最大値だとした。この基礎研究と臨床試験の結果を踏まえて、診断・分析用品、原料・食材・添加物、飼料・動物用薬、健康食品、乳幼児食品、医薬品、医薬部外品、生活関連用品などさまざまな用途・製品化の可能性が見込めると結んだ。
(株)ユーエスキュア・臼杵孝一社長は、「特別用途用食品の展望と課題-医療従事者が求める製品開発に向けて-」と題して講演。日健栄協のメディカルフーズ研究会が提案する見直し案を提案した。現制度の見直し案としては、(1)妊産婦、授乳婦用粉乳、高齢者用食品の除外、(2)病者用食品の病者用単一食品に「そしゃく及び嚥下困難者用食品」「濃厚流動食」のカテゴリーを新設、「高たんぱく質高カロリー食品」を新設、(3)病者用食品(許可基準型)の病者用組合わせ食品は、ナトリウムコントロール食品(病者用)、カロリーコントロール食品(病者用)、たんぱく質コントロール食品(病者用)の3つに改正、(4)病者用食品(個別評価型)は、許可基準型に該当しないもの、疾病名を表示するもの、新規成分を含むものの3つに再編成する――ことを挙げた。
東京医科歯科大学名誉教授であり前(独)国立健康・栄養研究所理事長である田中平三氏は「『健康食品』の安全性評価のあり方―消費者/利用者が納得する安全性評価基準とは―」というテーマで講演。健康食品の安全性に関する要因は、(1)成分自身の作用、(2)利用方法の問題、(3)利用者側の要因、(4)品質の問題、(5)医薬品や他の食品成分との相互作用、(6)その他に大別されると言明。消費者はトクホレベルの安全性評価を求めていると強調。トクホの安全性の確保の仕方を説明。文献検索にあたっては、米国の「Natural Medicines Comprehensive Database」が参考になると紹介した。この文献でlikely safe(おそらく安全)とされているものは最も安全性が高く、大規模な市販後監査が行われており、日本のトクホでも市販後監査が取り入れられるのではないかと予測した。また、重大な副作用についてのデータがあるlikely unsafe(おそらく危険と思われる)以下の原料は用いないほうが良いと主張した。さらに最も現在、「健康食品」の安全性確保の上で重要視されているのは、GMPだとした。
日健栄協 / 「平成19年度日本健康・栄養食品協会交流会」を開催、健康食品のセミナーを行う
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