小川香料では、 香りを訴求した柔軟剤やエアケア製品のヒットなどを踏まえ、 近年、 日本人の香りに対する許容範囲が広がりつつあるとみている。
「アメリカナイズされた甘めのフローラルやグルマン系で、 残香性のある柔軟剤が受け入れられており、 香りを楽しむ傾向にある。 この流れを受け芳香剤や柔軟剤メーカーでは香りで製品の差別化をはかる動きが顕著になってきた」 (鈴木卓フレグランス事業本部フレグランス研究開発部調香グループパヒューマー)
さらに、 やすらぎや幸福感など心に訴える香りや、 世界旅行をテーマにした臨場感のある香り、 ひだまりや森林など想像上の香りも注目されている。
プレミアム路線がヒット中のシャンプーでは、 ふくよかで高級感をイメージした香りが求められる。 一方で、 ファミリーユースのボディソープなどに柑橘系やバラなどわかりやすい香りを取り入れる事で、 香りが家族間のコミュニケーションツールとしての役割を担っている。 トイレタリー市場では香りが製品の価値を決める重要な役割を担っているのだ。
香料市場では、 これまで産地としての役割を果たしてきた新興国での消費量の高まりを受け、 法規制の整備が進んだ。 工業用途など他分野での需要が高まり、 安定供給が難しくなった香料も出てきた。
昨今、 トレンドの1つであるオーガニック路線を踏まえ、 天然香料の引き合いが増えている。 IFRAおよび海外の規制は年々強化されつつある。 同社ではそれらを遵守し、 かつ生分解性など環境問題にも対応した香料の開発・提案に力を注いでいく。
「調香のスキルを高めるには香りのトレンドだけでなく、 経済状況やラフスタイルの変化などあらゆることに目を向けなくてはならない。 これからも様々なアイデアを生み出し、 新たな切り口の香りを提供できるよう、 努力していく」 (鈴木氏)