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DHA&EPAとセサミンおよびビタミンEの血液の流動性と脂質代謝の改善効果を確認

 サントリー(株)健康科学研究所(所長:木曽良信、大阪府三島郡島本町)は、ドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)にセサミンとビタミンEを加えて4週間摂取することにより、血液の流動性ならびに脂質代謝が改善する効果を、杏林大学との共同研究により見出しましたので、第2回 日本血流血管学会(2008年11月29日、茨城)にて発表しました。
 今回の発表骨子は、以下のとおりです。
▼発表演題:「DHA&EPAとセサミン&ビタミンEの血液レオロジー※1と脂質代謝の改善効果」
▼発表者:杏林大学 医学部 総合医療学 教授 林潤一、桑井太郎
       サントリー(株)健康科学研究所 小野佳子、楠本晶、冨森菜美乃、堀川千賀
       医療法人社団和風会多摩リハビリテーション学院 渡辺圭一、石田信彦
       社団法人労働保健協会 原島敬一郎
<研究の背景>
 DHAとEPAはこれまで数多くの研究結果から、心血管系疾患に対する優れた改善効果が知られています。また、セサミンは、ビタミンEとの併用により優れた抗酸化作用を示すことが、過去の研究結果から明らかにされています。今回、DHAとEPA(以下DHA&EPA)にセサミンとビタミンE(以下セサミン&VE)を併用した際の、血液の流動性と脂質代謝への影響を検証しました。
<方 法>
表1血液中の中性脂肪値およびBMI(Body Mass Index)※2が高い傾向にある男女79名を、プラセボ(対照)群、セサミン&VE群、DHA&EPA群、DHA&EPA+セサミン&VE群、の4群に均等に分け、試験を行ないました。各試験サンプルの配合量を表1に示しました。摂取開始前と摂取4週間後の2回、MCFAN※3による血液の流動性、血小板の凝集能および血液中の脂質関連(中性脂肪、レムナント様リポ蛋白(RLP)-コレステロール※4など)の検査を行いました。
<結 果>
表1セサミン&VE群、DHA&EPA群、DHA&EPA+セサミン&VE群の3群において、摂取前と比べて血液の流動性を表す指標である血液通過時間が有意に短縮されました(図1)。また、血小板の凝集でも、DHA&EPA群、DHA&EPA+セサミン&VE群の2群で顕著な抑制作用がみられました(図2)。さらに、血液中の脂質(中性脂肪値およびRLP-コレステロール値)は、DHA&EPA+セサミン&VE群においてのみ有意に低下しました(図3)。
<結論>
 DHA&EPAとセサミン&VEを併用して4週間摂取することにより、血液の流動性および脂質代謝が、摂取前と比べて改善される可能性が明らかとなりました。
 以上の結果より、DHAとEPAの摂取時にセサミンとビタミンEを併用することにより、DHAとEPAの効果を増強できる可能性が示唆されました。
※1:血液レオロジーとは
 血液レオロジー(hemorheology)は、血液の流動性(血液の流れやすさ)について、微小循環(血栓形成を含む)との関連性を臨床医学の観点から研究する検査体系および学問です。
※2:BMI(Body Mass Index)とは
 外見的な肥満度を判定する国際的な指標であり、日本人の場合BMIが18.5未満の方は「低体重(やせぎみ)」、18.5以上25未満は「普通体重(標準)」、25以上は「肥満」とされ、標準的な数値は22といわれています。BMI=体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)]という計算式にて算出されます。
※3:MCFAN(Micro Channel Array Flow Analyzer)とは
 血液レオロジーの測定を目的として開発された機器の一つ。少量の血液を毛細血管と同じ太さ7μmのシリコン単結晶基板(毛細血管モデル)に流し、その通過速度を測定することで、血液の流れやすさを観察します。
※4:レムナント様リポ蛋白(RLP)-コレステロールとは
 腸管、肝臓由来のリポ蛋白が血中でリポ蛋白リパーゼにより分解される結果生じる中間代謝産物です。健常者においては空腹時血中にみられないのに対し、脂質代謝異常が生じると血中に滞留して動脈硬化促進因子となります。従って、動脈硬化症の進展予測や治療の指針として使用されています。
▼DHA、EPAについて
 DHA(ドコサヘキサエン酸)およびEPA(エイコサペンタエン酸)は主に魚油に多く含まれる成分であり、栄養素として注目されている必須脂肪酸の一つです。これまでの数多くの研究により、血清脂質濃度の低下作用、心血管系疾患やアレルギー疾患の抑制作用、学習能力や視力の向上作用などを持つことが報告されています。
▼セサミンについて
 ゴマに含まれる主なリグナン化合物の一種で、ゴマの中にわずかしか含まれない成分です。セサミンはこれまでの数多くの研究により、コレステロール低下作用、脂質代謝亢進作用、高血圧抑制作用、抗酸化作用、肝臓保護作用などを持つことが報告されています。
▼日本血流血管学会について
 本会は血流と血管のハーモナイゼーションに関わる、遺伝子、細胞、組織、臓器の様々なレベルにおける、生理、病態、臨床、およびその隣接する分野における研究の発展を図り、国際関連学会との連携を保ちながら広く知識の交流を求めることを目的として2007年に設立されました。今回は第2回の学術集会となります。
               
                                                      以上

2008年12月15日 11:59

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