株式会社東洋新薬(本社:福岡県福岡市、本部:佐賀県鳥栖市、代表取締役:服部利光)は、『葛の花エキスTM』の褐色脂肪細胞への作用について追加知見を得ましたので、シンポジウム「褐色脂肪研究の新展開」において発表いたしました。
葛はマメ科のつる性植物で、乾燥させた根が漢方薬の原料として葛根湯などに使用されています。『葛の花エキスTM』は、葛の花部から抽出した機能性食品素材で、イソフラボンとサポニンを含有しています。
同社は既に、『葛の花エキスTM』の中に含まれるイソフラボン類が抗肥満作用に関与し、そのメカニズムがUCP-1 〔注①〕mRNA〔注②〕の発現亢進にあることを確認しておりました。
UCP-1は脂肪燃焼に関わるタンパク質で、主に褐色脂肪細胞中に存在しています。褐色脂肪細胞には脂肪を分解してエネルギーを産生する働きがあり、褐色脂肪細胞の機能を亢進することで脂肪の蓄積が抑制され、抗肥満作用が発揮されると考えられます。
今回同社は、『葛の花エキスTM』に含まれるイソフラボン類の褐色脂肪細胞への作用に関する追加知見を得ましたので、シンポジウム「褐色脂肪研究の新展開」(2011年6月18日(土)~19日(日)、北海道大学大学院獣医学研究科講堂)〔注③〕において発表いたしました。
■ 『葛の花エキスTM』の褐色脂肪細胞への作用とその有効成分
7週齢のC57BL/6Jマウス〔注④〕を用いて、1)高脂肪食のみを与えた群(HFD群)、2)高脂肪食に『葛の花エキスTM』を添加した群(HFD+PTE群)、3)高脂肪食に『葛の花エキスTM』のイソフラボン画分を添加した群(HFD+ISO群)の3群に分け、それぞれの飼料を42日間摂取させました。
その結果、HFD+PTE群及びHFD+ISO群では、HFD群と比較して体重及び内臓脂肪重量の増加が有意に抑制されました。また、褐色脂肪細胞〔注⑤〕中のUCP-1陽性部分の領域(UCP-1陽性面積)が、HFD+PTE群及びHFD+ISO群ではHFD群と比較して有意に増加しました。
このことから、『葛の花エキスTM』の抗肥満作用に関して、褐色脂肪細胞においてUCP-1タンパク質の発現を亢進し、また『葛の花エキスTM』に含まれるイソフラボン類が本作用に関与していることが示唆されました。
従来の褐色脂肪細胞に関する知見の多くはマウスなどの実験動物を用いたものでしたが、最近ヒト成人にも褐色脂肪細胞が存在することが明らかとなり、新たな抗肥満・抗メタボリックシンドロームのターゲットとして大きな注目を集めています。
東洋新薬は今後も褐色脂肪細胞に注目し、褐色脂肪細胞でのエネルギー消費の亢進が期待できる『葛の花エキスTM』の機能性をさらに解明し、肥満対策における独自性高い商品を開発し、より一層の拡販に注力して参ります。
〔注①〕 UCP-1
脂肪燃焼に関わるタンパク質で、uncoupling protein-1(脱共役タンパク質1)の略。
主にヒトの限られた部位に分布している褐色脂肪細胞中に存在し、脂肪燃焼や熱産生を行っている。
〔注②〕 mRNA
messenger ribonucleic acid(メッセンジャーRNA)の略。
細胞核内で写し取ったDNAの遺伝子情報を細胞核外のリボソームへ運ぶものをmRNAという。リボソームに運ばれた遺伝子情報のコピーはタンパク質へと翻訳される。
〔注③〕 シンポジウム「褐色脂肪研究の新展開」
抗肥満のターゲットとして非常に大きな注目を集めている褐色脂肪細胞に関心を持つ国内外の研究者が一同に会するシンポジウム。日本国内における褐色脂肪研究の最先端の情報が集う。
〔注④〕 C57BL/6J マウス
高脂肪食を摂取させることによって肥満が誘導されやすい特徴を有することから、食餌性肥満モデルとして広く用いられているマウス。
〔注⑤〕 褐色脂肪細胞
脂肪を分解し、「熱」として体外に放出する働きのある脂肪細胞。心臓・腎臓周囲、首周りなどの限られた部位に分布し、脂肪を燃焼させる働きをもつ。年齢と共に減少することが知られている。