独立行政法人水産総合研究センター(以下、水研センター)、株式会社七つの海、ニチモウ株式会社は、海苔の消費拡大と高付加価値化のための新たな用途開発を目指して共同研究を行い、海苔エキス(スサビノリエキス)を含む化粧品を開発しました。水研センターは、海苔には有害な紫外線を吸収して無害化するアミノ酸(マイコスポリン様アミノ酸(MAA))が含まれていること、MAAは人の皮膚などに存在しコラーゲンなどを合成する繊維芽細胞の増殖を促進する活性を有することを見出し、特許を取得しています*。
このような海苔のエキスを含む化粧品(化粧水ミスト)を3 者で共同開発し、(株)七つの海が販売を開始しました。
今後も、海苔養殖業や自然化粧品による皆様の「美」に貢献するため、3 者で共同開発を続けるともに、水研センターではさらなる有効利用法の研究を行っていきます。
共同開発機関(それぞれの組織の目的や業務紹介)
・水研センター中央水産研究所では、海苔の消費拡大や高付加価値化を目指して、海苔に含まれる機能性成分を活かした新規有効利用法の研究開発を行っています。
・株式会社七つの海は、「オーガニック&ナチュラル」をキーワードに“新しいマーケット創造”を目指し、自然派化粧品の企画開発事業・自然化粧品の販売事業などを行っています。
・ニチモウ株式会社は、海苔加工機械大手として、海苔養殖業界に貢献するため、海苔用途の多様化を図っています。
【開発の背景】
海苔は、日本型食生活を構成する重要な食材で、海藻類の中では生産額・生産量ともにわが国で最も大きく、水産業上重要な資源ですが、近年、韓国・中国等との国際競争の激化や、贈答品としての海苔需要の低迷、色落ち(低品質海苔)の発生などの課題を抱えています。
そのような背景のもと、水産総合研究センターにおいては、海苔の高品質化・養殖コストダウン・新品種育種・新規利用方途開発などの研究を行っています。
その一環として、我々は、海苔の機能性成分解明とその応用技術の開発を公的研究機関や民間企業と進めております。
【海苔の機能性成分】
天然の海苔は、海岸の岩場の潮干帯と呼ばれる、潮の満ち引きによって海面下に沈んだり、海から顔を出したりする場所に生息しています。養殖海苔も同様に潮位によって顔を出したり(干出)沈んだりするような浅い海で栽培されています。海苔は、海面上にいる時には、遮る物のない太陽の紫外線や乾燥による強いストレスにさらされます。このような過酷な環境に適応するため、海苔は強力なストレス防御システムを持つように進化してきました。その防御システムの1つに、マイコスポリン様アミノ酸(MAA)があります。
マイコスポリン様アミノ酸は、太陽光の中の有害な紫外線を吸収し、無害化するという大きな特長を持っています。この特長から、MAAは化粧品などに利用できるのではないかと以前より期待されておりました。我々は海苔に含まれるMAAが、人の細胞に対しても紫外線を防ぐ効果を有するかの研究を行い、人の皮膚細胞に対しても紫外線防護効果を示すことを明らかにました。その過程で、さらにMAAが皮膚の細胞の増殖を促進する新たな機能性を見出しております。
海苔には、MAA以外にも、乾燥ストレスに耐える保水性の高いポルフィランなどの多糖類や、ミネラルなども含まれています。
※リリースの詳細は関連資料をご参照ください
【関連資料】
◎リリースURL/PDF
http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr24/240806/index.html
http://naturally.ne.jp/news/5.html
◎独立行政法人水産総合研究センター:公式サイト
http://www.fra.affrc.go.jp/
◎株式会社七つの海:公式サイト
http://naturally.ne.jp/
◎株式会社ニチモウ:公式サイト
http://www.nichimo.co.jp/index.html