博報堂では、グローバル市場でのマーケティング戦略に活用するためのオリジナル生活者調査『Global HABIT(グローバルハビット)』を2000年より毎年、アジアと欧米の主要34都市で中・上位収入層を対象に実施しています。今期は、最新(2011年実施)のGlobal HABIT調査のデータをもとに様々な角度から分析を行い、グローバル市場での可能性に繋がるヒントを全10回シリーズでご紹介しています。
第6回レポートでは、アジア14都市の女性のメイク・スキンケアなどの美容意識について分析した結果をご報告いたします。
対象都市: <東アジア>北京、上海、広州、ソウル、台北、香港<東南アジア>バンコク、クアラルンプール、マニラ、ホーチミン、ジャカルタ、シンガポール <インド>デリー、ムンバイ
1.<美容アイテム使用状況> 東アジアはスキンケア志向、東南アジアはメイクアップ志向
「スキンケア品」(洗顔料はのぞく)と「メイクアップ品」の使用率をみると、香港、台北、ソウル、中国3都市などの東アジア都市ではスキンケア品の使用率がメイクアップ品の使用率に比べて高い。一方、東南アジアやインドの2都市ではメイクアップ品の使用率がスキンケア品を上回る。中国3都市を含む東アジアの都市はスキンケア志向、東南アジアやインドはメイクアップ志向といえそうだ。
化粧水や口紅など個別アイテムごとの使用傾向をみると、ソウル、香港、台北では、21品目のうち半数以上のアイテムの使用率が50%を超えている(2人に1人が使用している)。特にソウルでは21品目中18品目の使用率が50%を超えており、スキンケア・メイクへの関心が非常に高い状況がうかがえる。一方、中国3都市や東南アジア、インドでは、使用アイテムの種類は少なく、いまだ代表的なアイテムの使用にとどまる。
なお、「洗顔料」は、各都市共通して使用率が高い。東アジアでは各都市9割前後、東南アジアでは最も低いジャカルタで60%超、その他の都市では70%超となっている。インドでは4割前後と、他都市に比べると数字は低いが、化粧水や乳液などの使用率を上回っている。すでに洗顔料は、シャンプー(各都市90%以上の使用率)のような基本アイテムとしてアジアに定着しつつあることがうかがわれる。
(注:洗顔料は今回分析の「スキンケア品」「メイクアップ品」の分類からは除外しています。)
2.<メイク・ファッションのお手本> 香港・台北では「日本」、東南アジア・中国3都市では「韓国」が人気
「メイク・ファッションについてどの国から影響を受けているか」をみてみると、香港・台北では「日本」の存在感が高く、「自国」すら上回る影響力をもっている。一方で、東南アジアでは「韓国」と「欧米」の影響が強く、なかでも15-29歳という若年層でみると「韓国」をあげる人が多くなってい
る。中国3都市でも、広州は「日本」「韓国」が同程度だが、上海・北京では「韓国」のメイク・ファッションの人気が高く、15-29歳でその傾向が強まるのも東南アジアと同様だ。
東南アジアや中国の女性、特に若い層にとっては、今や韓国がアジアン・ビューティーのお手本となっているといえそうだ。また、「日本」の存在感の高い香港、台北においても「韓国」の影響力は増大してきており、アジア全体でみても見過ごせない影響力となりつつあるといえよう。
3.<化粧品購入時重視点> 都市によって異なる観点品質や機能の確かさを求める東アジア
化粧品を買うときに「特に気になること」についてみると、価格の安さを共通項としながら、それ以外に何を求めるかは都市によって異なっている。香港、台北では「価格の安さ」に加えて、「基本品質や基本機能の確かさ」を重視する声が多く、安さも品質・機能も求める生活者像が垣間見える。ソウルでは「基本品質や基本の機能の確かさ」や「定評」に加え、「環境に配慮していること」が上位にあがっており、他の都市にはみられない観点をもっているようだ。
中国3都市では「価格の安さ」と「銘柄のイメージ」が重視されるが、特に北京ではこれらに加えて「販売店やサービス拠点の多さ」「サービス内容の充実度」といった“買い場”を重視する傾向もみられる。東南アジアでは、「デザインやパッケージのセンス」を重視するホーチミンシティ、「使いやすさ」を重視するクアラルンプール、「先進的な機能/品質の有無」を重視するバンコクと、都市ごとの違いがみられた。
価格プラスワンの期待値から、都市のカラーの違いを推測できそうだ。
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