ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業株式会社(本社:東京都品川区、社長:岩﨑泰夫)は、細胞の核の変形が皮膚の状態に影響を及ぼすと考え、研究を進めてきました。今回、コラーゲンやヒアルロン酸などの真皮の成分を産生する真皮線維芽細胞に圧縮を加えると、細胞の核が変形することを発見しました(図1)。
また、核が変形した線維芽細胞では、コラーゲンやエラスチンといった真皮を構成する成分を分解してしまうタンパク分解酵素が増加していることを見出しました(図2)。真皮線維芽細胞の核の変形は、顔の表情の変化による慢性的な肌の屈曲により生じやすく、表情圧(表情により皮膚が圧縮される力)によって核が変形し、肌の老化に影響を及ぼすと考えられます。
そこでポーラ化成工業は、『党参抽出物加水分解液』に核の変形を抑制する効果を持つことを見出し(図3、4)、『ボタンエキス』にタンパク分解酵素の増加を防ぐ効果があることを明らかにしました(図5)。『党参抽出物加水分解液』『ボタンエキス』はいずれもその効果により、肌悩みの解決に貢献することが期待されます。本研究結果は、2013 年12 月3~6 日に神戸にて開催される第36 回日本分子生物学会年会にて発表予定です。また本成果は2014 年1 月にポーラ・オルビスグループの株式会社ポーラより発売される新製品に活用予定です。
◎核の変形と肌老化の仕組み
ポーラ化成工業では、肌が表情の変化に伴い、屈曲し、曲がった部分が圧縮されることに着目し、横方向の圧縮が真皮線維芽細胞の核の形態へ与える影響を検証しました。その結果、慢性的に圧縮を負荷した培養真皮線維芽細胞では、核が変形すること、これが核変形の原因タンパク質の「異常ラミンA」の増加を伴うことを発見しました。また、真皮線維芽細胞の核の変形が原因と考えられる早老症で、皮膚が若いうちから固いことに着目し、核の変形を人為的に引き起こした真皮線維芽細胞の各種タンパク分解酵素のmRNA 発現を解析したところ、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼA、ストロメライシン1、ストロメライシン3 といった、コラーゲンやエラスチンなどの真皮を構成する成分を分解する「タンパク質分解酵素」が増加することを発見しました。これは核の変形の結果により引き起こされていると考えられます。以上より、シワ部位などの慢性的に肌の屈曲が起こる部位は、真皮線維芽細胞の核に変形が生じやすい環境であり、皮膚の弾力性低下に伴い肌の老化が促進されやすい状態であると考えられます。
◎核の変形を防ぐ素材『党参抽出物加水分解液
上記研究をもとに、素材を探索した結果、「党参抽出物加水分解液」に、核の変形に対する効果を見出しました(図3)。さらに、原因タンパク質「異常ラミンA」に対しても効果があることを確認しました(図4)。
◎タンパク分解酵素の増加を防ぐ素材『ボタンエキス』
核の変形を作為的に引き起こした真皮線維芽細胞に各種化粧品原料を添加し、上記図2 の4 種のタンパク分解酵素のmRNA 発現を指標に評価した結果、「ボタンエキス」に、増加したタンパク分解酵素を抑える効果を見出しました(図5)。
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◎ポーラ化成工業株式会社 2013年10月28日発表
http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20131028.pdf