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天然由来成分ボルネオールに清涼感による不快刺激の高い低減効果を発見/マンダム

株式会社マンダムは、化粧品(医薬部外品)の機能とともに使用感の向上を目指し、皮膚における感覚刺激に着目した研究を行っています。この感覚刺激について、自然科学研究機構・岡崎統合バイオサイエンスセンター富永真琴教授と共同研究を行い、TRP(TransientReceptorPotential)チャネルを用いた評価方法の開発、及び製品への応用に取り組んでいます(※1)。

そして今回、このTRPチャネルを用いて、天然由来成分の「ボルネオール(Borneol)」(※2)に、清涼成分により引き起こされる不快刺激の高い低減効果を見出しました。なお、この研究成果については、2013年10月12日にJournalofPhysiologicalSciencesに掲載されました。また、2014年3月16日~18日に開催される「第91回日本生理学会」にて発表を予定しています。

1.強い清涼感に伴う不快刺激とその低減に向けた成分探索
化粧品に使用される清涼成分は数多く開発されていますが、現在汎用されている?-メントールは、強い清涼感を実現するためには欠かせないものとなっています。しかし、この?-メントールは多量に配合すると使用時に灼熱感を引き起こし、不快刺激に繋がります。

この灼熱感には、TRPチャネルにおけるワサビやカラシの辛み成分の受容体であるTRPA1が関与していることが報告されていたため、マンダムではこのTRPA1に着目し、TRPA1が活性化しないことで不快刺激を与えない清涼成分、または不快刺激を低減させる成分の探索に取り組んできました。マンダムではこれまでに、ユーカリ由来成分のユーカリプトールに、?-メントールによるTRPA1の活性を抑制し、不快感を低減させる効果があることを見出しました。今回、さらに快適な清涼化粧品開発に向け、より効果的に不快刺激を低減させる新たな成分の探索を行いました。

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2.ボルネオールの不快刺激低減効果
?-メントールによるTRPA1の活性を効果的に抑制する成分を、TRPチャネルを用いて探索を行った結果、TRPチャネルのひとつであるTRPM8(冷感センサー)を活性化させる清涼成分として知られるボルネオールに、ユーカリプトールの10分の1の濃度でも同等のTRPA1活性抑制効果があることをマンダムが初めて見出しました(図1)。また、マンダム独自のヒトの頸部を用いた清涼感評価法においても、?-メントールを高濃度配合したときに引き起こされる不快刺激をボルネオールが低減させる効果が確認でき、統計的に有意な不快刺激の低減効果を明らかにしました(図2)。よってボルネオールは、清涼感を与えると同時に、?-メントールによる不快刺激を低減させる成分であると言えます。

今後もTRPA1の活性抑制について更なる研究をすすめるとともに、このボルネオールをより快適な清涼化粧品の開発に活用していく予定です。マンダムは清涼感に関し、生活者に快適に使用して頂ける製品への応用を見据え、今後も技術の深化を図っていきます。

※1TRPチャネルへの取り組み

<マンダムのこれまでの取り組み>
1.TRPチャネルを感覚刺激センサーとして化粧品評価に応用(2007年10月9日リリース)
2.皮膚感覚とTRPチャネル活性の相関関係(2010年9月22日リリース)
3.ヘアカラーの刺激メカニズムの解明とそれを低減できる炭酸イオンの発見(2010年12月6日リリース)
4.メントールの不快感を低減できるユーカリプトールの発見(2012年3月8日リリース)

<感覚刺激のメカニズム>
近年の研究により、「TRPチャネル」と呼ばれる化学物質や温度を感知して電気信号に変換する「センサー」が皮膚の神経に存在し、これが感覚刺激受容に関与していることが明らかになってきました。このTRPチャネルは、化粧品を使用した際の不快な感覚「ピリピリ」、「ヒリヒリ」にも関与していることがマンダムの研究により解明されてきています。また、清涼化粧品における「清涼感」は冷たさを感じるセンサーであるTRPM8を活性化させることに起因していると言われています。

※2ボルネオール
ボルネオールとは、龍脳樹(りゅうのうじゅ)というボルネオ島やスマトラ島に存在するフタバガキ科の常緑高木の主成分であり、古くから香料成分や防腐剤、医薬品においては漢方薬などに用いられています。揮発性が高く、鼻を突きぬけるような清涼感のある芳香が特徴ですが、不純物が多く、産出量が少なく僅かな量しか入手できないため希少な成分でした。そのため、類似の芳香を有する樟脳(カンフル)が代用されていたという歴史があります。

【お問合せ先】
株式会社マンダム 広報IR室
栗山/村上
TEL:06-6767-5020
FAX:06-6767-5043

※詳細は下記URLをご参照ください
◎株式会社マンダム 2013年12月16日発表
http://www.mandom.co.jp/release/2013/src/2013121604.pdf

2013年12月17日 16:26

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