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アスタキサンチンの乳化物をより微粒子化すると抗酸化力が高まることを確認/富士フイルム

富士フイルム株式会社は、抗酸化成分「アスタキサンチン」の乳化物を、より微粒子化することで、活性酸素の一種で悪玉とされる一重項酸素の消去能が高まることを確認しました。

「アスタキサンチン」は、脂溶性で、水に溶かすことができない性質を持っています。「アスタキサンチン」を水に安定して分散させるためには、「アスタキサンチン」の粒子の表面を、複数の成分を機能的に組み合わせた膜で包んだ乳化物とする必要があります。今回の研究では、「アスタキサンチン」の乳化物をより微粒子化すると、一重項酸素の消去能が高まることを確認できました。

同社は、「アスタキサンチン」の乳化物を約100nm以下のサイズにしたものを「ナノアスタキサンチン」と定義し(図1)、今後も引き続き、化粧品やサプリメントの開発に応用していきます。なお、本研究内容を平成26年9月12日に開催される第10回アスタキサンチン研究会にて発表します。

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今回、この「アスタキサンチン」の乳化物を、より微粒子化することで一重項酸素の消去能が高まると考え、写真フィルムで長年培ってきた解析技術を応用し、独自の測定方法を構築して、「アスタキサンチン」乳化物の一重項酸素消去能を測定しました。

一重項酸素は高いエネルギーを持ち、そのエネルギーを光や熱として放出することで消去されます。「アスタキサンチン」には、一重項酸素のエネルギーを受け取ることで、一重項酸素の消去を加速させる働きがあります。そこで今回、アスタキサンチンが、一重項酸素を消去する時間を測定するシステムを新たに構築し、「アスタキサンチン」乳化物の一重項酸素の消去能を測定しました。このシステムは、「アスタキサンチン」乳化物を添加した溶液内に、一重項酸素を発生させ、その一重項酸素が放出している光を感知することで、一重項酸素が発生してから消えていくまでの時間を測定するものです。

この結果、80nmの粒子サイズでナノ化した乳化物(ナノアスタキサンチン)は、430nmの粒子サイズでナノ化した乳化物に対して、一重項酸素消去速度が約9倍になることを確認しました(図2)。これにより、「ナノアスタキサンチン」は高い抗酸化力を持っていると考えられます。

◎「アスタキサンチン」とは
「アスタキサンチン」は自然界に広く分布している天然由来の抗酸化成分で、サケやエビ、カニなどに多く含まれるカロテノイドの一種です。ヘマトコッカス藻あるいはオキアミを原料とした「アスタキサンチン」が、機能性食品の原材料として使われています。トマトのリコピンやニンジンのβ‐カロテンなどのカロテノイドが活性酸素を消去する「抗酸化作用」をもつ成分として知られていますが、「アスタキサンチン」は、これらのカロテノイドよりも強い抗酸化作用をもつ成分として注目されています。

同社はこれまでに、「アスタキサンチン」が、CoQ10の約1000倍以上(*1)の一重項酸素の消去能を持つことを実証してきました(*2)。このほか、「アスタキサンチン」には眼精疲労の回復作用(*3)や筋肉疲労の回復作用(*4)などさまざまな効果効能があることが報告されています。
*1 CoQ10(酸化体)に対して1000倍以上。CoQ10は、人の細胞中に存在する補酵素で、細胞を活性化させ人体のエネルギー生産に不可欠な成分。抗酸化作用により、活性酸素を除去する働きもあると考えられ、肌美容への効果も期待されています。
*2 同社調べ J. Mori, H. Yokoyama, T. Sawada, Y. Miyashita and K. Nagata, Mol. Cryst. Liq. Cryst. 580(1),2013, 52-57
*3 アスタキサンチンの効果は数多く報告されており、ピント調節力が改善する(富山医科薬科大学眼科による試験)、ピント調節にかかる時間が短い(藤田保健衛生大学眼科による試験)などが報告されています。
*4 澤木啓祐「アスタキサンチンのスポーツパフォーマンスにおよぼす影響」臨床医薬、18、1085、2002で運動選手の筋肉疲労の回復が早まる、などが報告されています。

【お問い合わせ】
お客様 ライフサイエンス事業部 PR
TEL 03-6271-3515
報道関係 コーポレートコミュニケーション部
TEL 03-6271-2000

※詳細は下記URLをご参照ください
◎ 富士フイルムホールディングス 2014年9月8日発表
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_0908.html

◎ 富士フイルム株式会社  オフィシャルサイト
http://fujifilm.jp/

2014年09月10日 14:52

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