味の素株式会社は、同社の独創的なタンパク質の製法開発サービス「CORYNEX®」※2を採用したバイオ医薬品候補が初めて第1相臨床試験に進み、現在、試験実施中であることを本日発表します。この医薬品候補は、同社100%連結子会社で、米国でバイオ医薬品※1の開発・製造サービス事業を行う味の素アルテア社が、日本の大手製薬会社より受託製造していたものです。これを機に、バイオ医薬品開発への「CORYNEX®」の採用が拡大することを期待しています。
2009年に事業化した「CORYNEX®」は、同社が半世紀以上にわたり培ってきたアミノ酸発酵技術を応用した独創的なタンパク質の製法開発受託サービスで、その優れた数々の特長※3から、既存の製法では困難だった多種類のタンパク質の発現を可能にし、効率的で低コストなタンパク質生産を実現しています。同社は国内外のお客様に向けて「CORYNEX®」のサービスを提供しており、現在では複数の製薬会社へライセンスアウトもしています。また、同社は、2013年に米国でバイオ医薬品のcGMP※4製造・開発サービスから製剤化までを手掛ける開発・製造受託会社※5であるアルテア・テクノロジーズ社(現・味の素アルテア社)の全株式を取得し、バイオ先端医療分野※6における事業を強化しています。
今回の「CORYNEX®」を採用したバイオ医薬品候補の開発・製造は、味の素アルテア社が日本の大手製薬会社と2013年に締結した製造委受託契約に基づくもので、これまでにcGMP製造をはじめとした多くのサービスを提供しています。今回、「CORYNEX®」を採用して開発されたバイオ医薬品候補が第1相臨床試験、すなわちヒトへの投与実施に進んだのは、2009年の「CORYNEX®」事業開始以来、初めてです。
同社は今後も、「CORYNEX®」を採用した独自のバイオ医薬品開発のための基盤技術と、味の素アルテア社のバイオ医薬品の開発・製造に関する高い技術力・ノウハウ等を組み合わせることにより、バイオ医薬品の開発・製造サービス事業をさらに拡大し、味の素グループのバイオ先端医療分野における事業を強化・推進するとともに、世界中の人々の健康に貢献します。
■ 味の素アルテア社の概要
(1) 英文会社名 : Ajinomoto Althea, Inc.
(2) 所在地 : 米国カリフォルニア州サンディエゴ市
(3) 設立時期 : 2013年4月
(4) 代表者 : 社長兼CEO デイビット エンロー
(5) 従業員数 : 約340名(2016年8月現在)
(6) 事業内容 : cGMPに準拠したバイオ医薬品の製法開発・製造受託(原薬製造・製剤充填・分析等
(7) ホームページ : http://altheacmo.com/
※1 バイオ医薬品:
主に遺伝子組換え等のバイオテクノロジーにより創られた医薬品。これまで治療が困難だった疾患への適用が可能であり、安全性が高く最小限の副作用で高い効能が期待される。免疫機能を応用した抗体医薬品が代表的で、がんやリウマチの治療薬等がある。
※2 「CORYNEX®」:
コリネ菌(グルタミン酸生産菌)を用いて、タンパク質・ペプチド等のバイオ医薬品の生産を効率化する先端技術を活用した受託発現サービス。
※3 「CORYNEX®」の特長:
グラム陽性細菌であるコリネ菌は、エンドトキシン(発熱物質)を産生せず、胞子形成能もなく、かつ毒性のない安全な菌。目的とするタンパク質は、生理活性を有した状態で培地中に直接、高純度で分泌されるため、工業生産のためのスケールアップが容易。従来の大腸菌を用いたシステムに比べて、精製工程の簡略化による生産コストの大幅な削減が可能。
※4 cGMP:
current Good Manufacturing Practice([現行の]医薬品等の製品管理及び品質管理規則の略)。
米国のFDA(Food and Drug Administration、米国食品医薬品局)の医薬品等の製造、試験に適用される品質管理システムのこと。
※5 開発・製造受託会社(CDMO=Contract Development & Manufacturing Organization):
製薬企業などから、医薬品の製法開発、ならびに、前臨床・治験・商業段階までの製造を受託することを主たる事業として展開している企業。
※6 バイオ先端医療分野:
同社がアミノ酸・核酸・タンパク質関連技術で貢献できる市場領域。
具体的には同社独自の「CORYNEX®」や動物細胞用の無血清培地技術によるバイオ医薬品や再生医療等の関連事業分野。
【詳細は下記URLをご参照下さい】
・味の素株式会社 2016年10月4日発表
・味の素株式会社 公式サイト