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コラーゲンの分泌を速める新素材「エクトイン」を発見/ファンケル

株式会社ファンケルは、シワやたるみのメカニズムの解明の一つとして、加齢によりコラーゲンの「量」が減少するだけでなく、形などの「質」が変化することにまで着目して研究を進めています。

真皮内のコラーゲンは、線維芽細胞(1)内で作られたコラーゲンがコラーゲン線維となって存在しています。コラーゲン線維を作る材料のコラーゲンを速やかに線維芽細胞の外へ分泌し、真皮のコラーゲン産生を円滑にすることが、コラーゲン線維の形成、つまりコラーゲンの「質」を高められると考えました。

そこで、コラーゲンの分泌を速める新たな素材として「エクトイン」(2)を発見しましたので、お知らせします。本知見から、素早く真皮内でコラーゲンを作り、シワやたるみを防ぐという新しいアプローチが期待されます。

なお、同研究成果の一部は、第53回 結合組織学会学術大会(2021年6月26日~27日 於:東京都千代田区)にて発表しました。

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■ 研究方法と結果
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【 「エクトイン」は短時間でのコラーゲン分泌量を増加させる 】
線維芽細胞を用いて、短時間で細胞の外に分泌させる成分の探索をしました。その結果、「エクトイン」を添加した場合、直後から無処理のものと比較してコラーゲン分泌が徐々に促進され、時間の経過に伴い分泌量が最大約 8 倍も増加する結果を得られました(図 1)。この結果から、「エクトイン」がコラーゲンの分泌を促す効果があることが分かりました。

図 1 エクトインによる各時間のコラーゲン分泌量の変化
エクトイン添加により短時間からコラーゲン分泌し、時間の経過とともに増加する

【 「エクトイン」は細胞のコラーゲン輸送過程で重要なタンパク質Prebを増加させる 】
次に「エクトイン」によるコラーゲン分泌促進作用が、どのようなメカニズムで起きているかを調べました。方法は、線維芽細胞に「エクトイン」を添加し、細胞の中で作られたコラーゲンを細胞の外へ輸送する際に必要となる小胞輸送関連タンパク質(3)の量を確認しました。その結果、いくつか輸送に関連する小胞輸送関連タンパク質の中で、一番最初に働き、起点となるタンパク質「Preb(4)」を増加させることが 分かりました(図2)。以上のことより、「エクトイン」がコラーゲン分泌の起点であるPrebを増加させ、細胞の外へコラーゲン分泌を素早く促していることを発見できました。

図 2 エクトインによるPrebの変動
エクトイン添加により、コラーゲン小胞輸送の起点であるPrebを増加させる

【 「エクトイン」はコラーゲン線維形成を促進させる 】
最後にコラーゲン線維の形成促進効果について確認しました。線維芽細胞に「エクトイン」を添加して 13 日間培養すると、「エクトイン」を添加した細胞はコラーゲン線維が無添加と比較し、非常に多く形成されていることが分かりました(図 3)。

図 3 エクトイン添加によるコラーゲン線維形成
エクトイン添加によりコラーゲン線維が形成されている(緑色がコラーゲン線維)

【 まとめ 】
以上の結果から、「エクトイン」は皮膚の線維芽細胞に働き、コラーゲンの分泌速度を上げて線維形成を促進することで、真皮のコラーゲンの「質」を高めてシワやたるみを予防するという新しいアプローチに寄与することが示唆されます。

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■ 研究背景・目的
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コラーゲンは、皮膚にハリと弾力を与える真皮の重要な組織であり、コラーゲンの機能維持がシワ予防および改善に重要です。しかし、コラーゲンは加齢とともに減少、断片化(5)して「質」も変化することが知られています。さらに、コラーゲンは「紫外線」や「ストレスによる活性酸素」などの影響で、常にダメージを受ける環境下に存在します。そのため、ダメージを受ける前に素早く生み出すことが大切だと考えました。そこで、コラーゲンの産生量だけではなく、分泌される速さに着目し、素材を探索しました。

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■ 同研究成果による製品開発
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同研究で得られた成果は、これまでの同社の肌本来の機能を高めるコラーゲン研究の進化として、コラーゲンの修復に働くコラーゲン受容体や、コラーゲンの線維束をまとめるV型コラーゲンに加え、コラーゲンを素早く生み出すコラーゲン分泌へのアプローチを研究して製品化に応用してきました。今後もさらに研究を進め、コラーゲンの「質」を高める新しいコンセプトのアンチエイジング化粧品の開発に努めて参ります。

【用語説明】
1) 線維芽細胞
真皮に存在する細胞で、コラーゲンやエラスチンなどを産生する細胞。

2) エクトイン
環状アミノ酸の一種。

3) 小胞輸送関連タンパク質
細胞内で作られた小胞内のタンパク質が細胞外へ輸送される。この小胞(袋状の構造)の輸送に関連する
タンパク質。

4) Preb(Prolactin regulatory element bindhing protein) 別名:Sec12
小胞における輸送を開始する際に、活性化されるタンパク質で小胞輸送の起点となる。

5) 断片化
コラーゲンなどのタンパク質はアミノ酸が結合して構成されているが、その結合が切れて短くなること。

【詳細は下記URLをご参照ください】
株式会社ファンケル 2021年7月26日【PDF】発表
株式会社ファンケル 公式サイト

2021年07月26日 18:45