早稲田大学理工学術院の大塚悟史(おおつかさとし)招聘研究員(研究当時)、および中尾洋一(なかおよういち)教授らの研究グループは、春ウコンCurcuma aromaticaに含まれる生物活性成分として(1)coronarin C、(2)coronarin D、(3)(E)-labda-8(17),12-diene-15,16-dialの3種類を同定しました。そのうち、coronarin Dには神経幹細胞※1からアストロサイト※2への分化誘導を強く促進する活性があることを見出しました。
同研究成果は、米国化学会誌『Journal of Agricultural and Food Chemistry』に2022年3月4日(金)付けでオンライン掲載されました。
※1 神経幹細胞
神経活動を担うニューロンや、その機能を支持するアストロサイトなどのグリア細胞に分化する能力を持つ幹細胞。成人脳内の海馬や側脳室などに分布して必要に応じてニューロンやグリア細胞に分化することで、生涯を通じて神経系細胞を供給し続けることが知られている。
※2 アストロサイト
グリア細胞のひとつで星状膠細胞とも呼ばれている。神経ネットワークの構造の維持のほか、各種神経伝達物質のやり取りにも関与し、脳の機能維持や可塑性に調節している。
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発表のポイント
◎秋ウコンと比べて研究が遅れている春ウコンについて、in vitro神経分化誘導システムを用いてクルクミン以外の活性成分の探索を行った
◎神経幹細胞からアストロサイトへの分化誘導を強く促進する春ウコンの活性成分として、coronarin Dを見出すことが出来た
◎認知症やパーキンソン病をはじめとした神経変性疾患に対する予防サプリメントへのcoronarin Dの機能応用が期待できる
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【詳細は下記URLをご参照ください】
・早稲田大学 2022年3月10日発表
・早稲田大学 公式サイト