オリザ油化株式会社(本社:愛知県一宮市、代表取締役:村井弘道、以下「オリザ油化」)は、 油種の違いによって天ぷらなどの油調理品(油で調理した食材、以下油調品)の食感に違いが生じる評価データについて岐阜大学、岐阜大学院と共同研究を実施、研究結果を8 月 24~26 日に開催された第 69 回日本食品科学工学会大会にて発表した。
近年、需要の高まっているこめ油は、古くから食品業界を始め広く使用されているが、その背景として挙げられる様々な理由の 1 つとして、一般的に他の食用植物油脂よりも、油調品の食感が良好で、かつ油臭さなどが少ないと評価されることが良く知られてきた。一方で、その評価については、これまであくまで官能的な評価に留まるところが大きく、科学的根拠に基づく結果としては、明らかにされてこなかった。今回、オリザ油化と岐阜大学応用生物科学部西津教授は、食用油脂の違いにより、油調品のサクミや衣の構造にどのような違いが生じるかについて科学的見地から、共同で研究を進めた。
日本食品科学工学会大会で発表された研究は、油調品を切断する際の振動(クラック)から記録される波形データの大きさや発生頻度が、サクサクした食感(以下、サクミ)として官能評価との間に高い相関性が得られるという先行研究の手法等を用いて実施された。
その結果、
□こめ油を使った油調品の衣は、クラスト層と呼ばれる低水分領域が他油よりも薄く形成され、クラスト層が薄いほどサクミに関与するクラックがより多く発生していること
□衣の吸油量は、クラスト層内に多数形成される気泡内に保持されるとされ、クラスト層が他油よりも有意に薄いこめ油の油調品は、結果として衣の吸油量が少なくなること
をデータとして得ることが出来た。つまり、こめ油を使った油調品の衣層は、サクミが良好な状態が作られていることが明らかになり、またその衣層は油分含量が少ない為、時間経過しても油臭くなりにくい可能性が示唆された。
これまで経験的に知られてきた、こめ油を使った油調品の美味しさや、他の食用植物油脂と比べた時の「サクサクした食感」や「油臭くならない」といった特徴が、定量的な評価データに基づいても明らかになったことで、オリザ油化はよりこめ油の普及に向けて、明確な根拠の1つとして説得力を持たせた提案を、今後国内外に向けて発信していく考えだ。
出典:平野ら,植物油の種類がフライ食品の揚げ衣の嗜好特性に及ぼす影響,日本食品科学工学会第 69 回大会
【詳細は下記URLをご参照ください】
・オリザ油化株式会社 公式サイト
・オリザ油化株式会社 2022年9月16日【PDF】発表