株式会社コーセーは、肌のシミ部位では健常部位に比べて横方向の細胞分裂が過剰に生じており、それがメラニンを含んだ未分化※1 な表皮細胞の重層化、ひいてはシミの一因になっていることを見出しました。さらに、同社が開発した美容成分「ナツシロギクエキス」には、この未分化な状態を改善する分化促進効果やメラニン産生抑制効果があり、シミへの有効性が期待できることが分かりました。
※1 特定の役割をもつ細胞(角層細胞など)に変化する前の増殖能力を持つ細胞
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■ 研究の背景
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シミは多くの方が抱える肌悩みのひとつです。同社では、これまでもシミ部位の可視化やそれに基づくシミ形成メカニズムの解明について基礎研究を重ね※2, 3、そこにアプローチする成分の開発などを通してこの肌悩みの解消に挑んできました。
今回の研究は、シミ部位での表皮細胞の分裂や分化(役割をもつ細胞として成熟していくこと)に着目しました。シミのない健常部位では、表皮細胞は縦方向や横方向に分裂して生まれたあと、徐々に分化しながら肌の外側に向かって押し上げられて、角層などの役割をもった皮膚組織になります。一方、シミ部位では未分化細胞が健常部位よりも多く観察されるという報告はありましたが、その詳細は十分に研究されていませんでした。そこで、この表皮細胞の分裂と分化を対象に、シミ形成のメカニズムの解明に取り組みました。
※2 2017 年 9 月 22 日発行リリース
https://www.kose.co.jp/company/ja/content/uploads/2017/09/20170922.pdf
※3 2020 年 12 月 24 日発行リリース
https://www.kose.co.jp/company/ja/content/uploads/2020/12/20201224.pdf
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■ シミ部位では表皮細胞の横方向の分裂が増加していることを発見
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健常部位およびシミ部位のヒト皮膚を用いて、表皮細胞の分裂について検証をしたところ、シミ部位では健常部位に比べて、横方向の分裂の割合が増加していることが分かりました(図 1 左)。
未分化細胞とメラニンの分布について確認したところ、シミ部位ではメラニンを過剰に蓄積した未分化細胞の割合が多く、基底膜(表皮の底部にある膜状構造)の上に重層化していることが確認できました(図 1 右)。
このことから、シミ部位での未分化細胞の重層化と横方向の分裂の増加には関連性があることが見出されました。シミ部位では、メラニンを過剰に含んだ未分化細胞が重層化し分化が滞ることで、ターンオーバーが乱れ、シミの一因になると考えられます。
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■ ナツシロギクエキスに分化促進効果およびメラニン産生抑制効果を発見
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ナツシロギクは南東ヨーロッパを原産とするキク科ヨモギ属の多年草であり、このエキスには抗炎症作用や抗酸化作用があることが知られています。これらの様々な作用に着目し、同社が開発したのが今回の「ナツシロギクエキス」です。
このエキスの有効性を探索したところ、分化した表皮細胞でつくられるタンパク質であるケラチン 10 の遺伝子発現量の増加を確認しました(図 2 左)。このことから、同エキスには表皮細胞の分化促進効果があり、先述のシミ部位で重層化している未分化細胞を減少できる可能性が見出されました。また、同エキスはメラニン産生細胞に対するメラニン産生抑制効果も有することが判明しました(図 2 右)。このことから、ナツシロギクエキスはメラニンをもった未分化細胞の重層化の解消とメラニン産生抑制の両面からシミに対する有効性が期待できます。
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■ 今後の展望
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【詳細は下記URLをご参照ください】
・株式会社コーセー 2022年10月11日【PDF】発表
・株式会社コーセー 公式サイト