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生活習慣と前立腺がんの深い関係

前立腺がんの罹患率が急増している。10年後の2020年には2000年と比べ、罹患数3.4倍、死亡数が2.8倍になるとの予測もある。対策は急務だが、生活習慣病改善のアプローチが予防につながるとのデータもある。つまり、心構え次第では悲観する必要はなさそうなのである。

“胃がん”、“肺・気管がん”、“結腸がん”。左は、2001年の男性の部位別がん罹患数上位3位。これが2020年には1位肺がん、そして2位に前立腺がんが入ると予測されている。罹患数約8万人、2000年比で3.4倍もの増加となる。こうした将来的な急増予測から、前立腺がん対策の必要性が声高に訴えられるようになってきた。

まず、なぜ前立腺がんは、急増しているのか。そもそも日本人の前立腺がん発症頻度は低く、アメリカ人の約16%に過ぎなかった。ところが、食の欧米化により、その頻度が向上。さらに米国では、検査の徹底により、その頻度が下がっており、日本においては検査の不十分さもその要因とされる。

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こうしたバックグラウンドの上で、前立腺がんと生活習慣の相関をみていくと、その対策への道筋が浮かび上がってくる。例えば、前立腺がんによる死亡と大豆食品の摂取に関するデータでは、大豆をたくさん摂取する日本やアジア諸国では欧米に比べ、明らかにその死亡率が低い。米国のがん研究機関の調査では、65歳以上の29METSより多い運動習慣のある男性では運動量と前立腺がんの進行に逆相関が確認されている。

つまり、前立腺がんはその発症に食生活、ライフスタイルの影響が大きく関与する。さらに罹患期間が長い上に進行速度が通常のがんに比べて遅く、ある意味で慢性疾患の付き合いと似ているといえる。こうしたことから、前立腺がんは、がんであることに変わりはないが、生活習慣病と捉え、ライフスタイルを改善することで、その予防・対策が充分に行えると考えられる。

とくに50歳を過ぎたらPSA検診を定期的に受けることも、2次予防の観点から重要となる。PSA検診は、前立腺疾患患者の場合、40倍もの濃度になるといわれるPSA濃度を血液検査で測定するもの。欧米では対象人口の約8割が受診しているといわれ、その成果もハッキリと出ている。

一方、日本では50歳以上の男性の対象は2,400万人にものぼりながら、その受診者は5%にも満たない(2005年時点)。生活習慣改善と定期検診。がんといえど、その心構え次第では遠ざけることが充分に可能なのである。

2010年12月15日 12:30