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花粉症の症状を確実に緩和する”法則”

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敏感な人にはすでに症状が出始めている花粉症。花粉症持ちの多くは、本格シーズン突入を前に憂うつになっていることだろう。グズつく鼻、かゆい目、止まらないくしゃみ…。何をするにも集中力を妨げるあの不快感とは、今年こそ縁を切りたい――。安心しよう。花粉症患者全員の悲願ともいえる、アノ症状を緩和する法則は、確かに存在する。

“黄金の法則”を知る前にまず理解しておくべきことがある。それは、花粉症は若年で発症した人ほど、完治する可能性が低いということ。つまり、発症したら、長い付き合いになるということである。従って、患者にとって花粉症の治療は、完治させるため、というよりもその症状緩和のため、ということだ。なんとなくは分かっていてもこの点はしっかりと認識しておく必要がある。

その上で、エデルマン・ジャパン株式会社が設計し、脳神経疾患研究所附属総合南東北病院アレルギー・頭頸部センター所長・今野昭義氏が監修した、昨年11月に20歳から84歳の男女2089人を対象にインターネットで行った「花粉症患者意識調査」をみてみよう。そうすると、確実に症状を緩和する法則が浮かび上がってくる。

治療においてどれだけの人がその方針を理解しているのか、の項目。ここでは「とてもよく分かった」「大体分かった」を合わせ、85.2%が理解。そして、「再診時、医師の説明を受けた後の患者の気持ち」の項目では、43.7%の人が「治療に前向きになった」と回答。その内、「医師が自身の症状に気遣ってくれた」と感じている人は、そうでないと感じている人に比べ、約6倍もそう感じる結果が出ている。

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この結果からいえるのは、治療を共に行っている、という一体感を医師が示すことで、患者はその治療に前向きになれるというわけである。大半が、治療の方針を理解していることを考えると、そこから先、いかに両者が良好な関係を築き上げるか、が花粉症治療の効果を上げる大きなポイントのひとつといえそうだ。

治療開始後の効果についての項では、治療薬の種類ごとに調査が行われている。ここで、全てに共通しているのは、患者がその服用にあたり、自ら積極的に参加している、つまりアドヒアランス(服薬遵守)が良好な場合にその効果実感が顕著に高くなっているという点。これら2つの結果から花粉症の治療効果を高めるもうひとつの法則がみえてくる。それが「アドヒアランス」だ。

調査の設計・分析を監修された脳神経疾患研究所附属総合南東北病院アレルギー・頭頸部センター所長・今野昭義氏は次のように解説する。「調査全体をみてもアドヒアランスが高いと効果を実感できるのが明らか。そこで大切なのが、患者と医師のコミュニケーション。現実的には、花粉症シーズンには患者が集中するため、そうした時間は限られるが、医師側では問診表の有効活用、待ち時間での患者説明用資材の活用、患者側では比較的すいているシーズン前の早目の受診など、やれることはいろいろとある」と解説する。

さらに自治医科大学医学部耳鼻咽喉科学教室教授の市村恵一氏は、治療満足度の向上策について「初診時に諸症状確認後、患者が治療に対し何を優先するかを聴き、患者個別の事情を考慮した治療を行うこと意向を示すことが大切」と提言する。東京女子医科大学医学部医学科眼科学教室臨床教授の高村悦子氏は、眼科医の立場から「調査ではほとんどが眼科以外から点眼薬を処方されている。それが抗アレルギー点眼薬であれば処方後2~3週間経過後も症状が改善しない場合、眼科医へ紹介して欲しい。また、点眼薬の点し心地はアドヒアランスに影響するので好みを聴き、患者が納得した点眼薬を処方することも必要」と治療満足度向上への見解を述べた。

症状が出始める前の治療である「初期療法」にも大きな効果が期待できる。調査では、治療開始前の症状について「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」「眼のかゆみ」にそれぞれ40%~50%が重症・最重症の強い症状を訴えている。今野医師によれば、治療の開始前にそうした状態にあるようでは遅すぎであり、「総体的により治療効果を高める意味でも早めの受診は大切」とシーズン中の症状緩和の効果的な治療として、初期療法の有効性を力説する。

「今年こそ快適に不快なシーズンを乗り切りたい」。この時期、そうやって気合を入れるのがいつの間にか毎年の恒例行事になってはいないだろうか。今年こそそんなむなしい思いにピリオドを打ちたいなら、(1)治療への積極参加の意識をしっかり持ち、(2)医師とのコミュニケーションを良好にし、(3)初期療法も含めた早めの受診を心がけることが、その第一歩といえそうだ。予報では、2012年の花粉飛散開始時期は、昨年と同じか遅め。飛散量は、昨年の7割減であるが、例年並みとされ、警戒が必要である。

2012年01月26日 17:16