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痴漢防止シールが完成

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平成18年4月から産学連携でシール・ラベル・ステッカーに関する商品開発を進めてきた神奈川県シール印刷協同組合(三浦順治理事長)はこのほど、その完成形といえる商品「痴漢防止シール」を発表した。痴漢である犯人に痕跡を残すという乾燥しない特殊なインキを印刷した2層構造の「痴漢防止シール」そのものも特許として出願。しかも、特許の出願者が個人名ではなく、神奈川シール協組という組合名で出願したのも異例で、国内ではおそらく初めてのケース。

商品化として発表した「痴漢防止シール」は、神奈川シール協組と東海大学教養学部人間環境学科・隈本研究室(隈本純准教授)との間で進められてきた「シールの新規ビジネスアイデア創出に関する研究」の成果によるもの。両者の研究は、神奈川県中小企業団体中央会のコーディネートにより、平成18年4月からスタートした。

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研究室の学生が市場調査や消費者に直接アンケートを行うなどして、約250アイテムのアイデアが寄せられた。これらのアイデアを組合と研究室双方で精査し、美容・健康関連として5アイテム、生活・くらし関連で5アイテム、その他1アイテムの計11アイテムに絞り、具体的な市場分析、競合・類似商品のマーケティング、市場投入後の購買意図形成戦略について研究を行った。

 

その結果、組合側では「アルコール検知シール」と「痴漢防止シール」を選択。前者については、アルコール検知の試薬開発の問題でクリアできず断念し、その代替案として「便座シール」の商品開発に取り組むことになった。一方の「痴漢防止シール」は6回以上の試作を重ね、それぞれの試作品を研究室にフィードバックしながら改良を重ね、平成21年3月にはほぼ製品化にまで漕ぎ着け、具体的な意匠、形態、使用方法と販売方法なども検討。産学提携というより、“商学提携”といえる。同年5月には組合名で特許として出願、特許庁からは異例であるが産学連携での開発商品であることから受理された。

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日常的に多い痴漢。その防止のために様々な痴漢防止グッズが出回っているが、シールの機能で痴漢防止に応用した「痴漢防止シール」は、シールの図柄で痴漢に対して“ノー”(警告表示)という意思表示を示すという訴求効果がある一方で、2層構造になっているシールを剥がして、加害者に特殊なインキを転写して、その痕跡を残し証拠にするという機能を備える。インキは乾かず、取れないというもので、それを2層のシールの間に印刷するというのも特殊な技術が使われている。

被害者となる女性の多くが、携帯電話を手にしており、その携帯に「痴漢防止シール」を貼りつけておき、痴漢がいたらシールの1層部を剥がし「×」のインキを手などに転写させるという使い方だ。

同製品の販売は、製造元を神奈川シール協組とするが、直販は行わず、公共交通機関や流通販売事業者と販売契約を締結し、市場投入していく方法を採用していく。