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実験動物を用いずに化学物質のアレルギー性を調べる皮膚感作性試験代替法 h-CLAT(エイチクラット)の特許使用を無償化に/資生堂

株式会社資生堂は、花王株式会社と 2003 年から共同開発してきた、実験動物を用いずにヒト由来の培養細胞(細胞株)で化学物質のアレルギー性を正確、迅速かつ低コストで調べることができる皮膚感作性試験代替法「h-CLAT(エイチクラット)※1」の基本技術について、国内特許※2 を有しています。

h-CLAT については、世界共通の公的試験法である「OECD※3 テストガイドライン」化に向けた取組みを積極的に進め、2015 年の決定・収載を目指した最終審議がなされる段階に進展しています。これを機に、動物実験削減の一助となる h-CLAT の普及拡大をはかるべく、本年 12 月 1 日よりh-CLAT に関する特許使用を無償化します。

資生堂は、動物実験代替法を中心とした新たな安全性保証体系を確立し、2013 年 2 月に社内外での動物実験の廃止(全廃)を決定しました。自社での動物実験廃止にとどまることなく、全世界レベルでの動物実験削減に向けて、動物実験代替法の研究開発と、開発した代替法の公的試験法化に向けた取り組みを国内外で積極的に行っています。

※1 human Cell Line Activation Test
※2 「特許第 4270702 号」、発明の名称「感作性物質のインビトロ評価法」
※3 OECD:経済協力開発機構

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動物実験を全廃した資生堂の取り組み
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皮膚に化学物質が接触して体が異物として認識し、次に接触した時に皮膚アレルギーが起こるかどうかを調べるのが皮膚感作性(皮膚アレルギー性)試験です。これまでは、世界共通の公的試験法として、実験動物を用いた以下の 2 つの試験が主に行われていました。

? モルモットを用いる GPMT (Guinea pig Maximization Test)
? マウスを用いる Local Lymph Node Assay (LLNA)

昨今、動物愛護などの考え方が広まり、化粧品開発における動物実験に対する厳しい見方も世界的に広まっています。一方、化学物質の安全性評価は必然・必須であるうえに、企業としてもコストや時間を効率化できる、実験動物を用いない代替試験法は、時代の要請ともいえます。資生堂と花王は、それぞれ独自に皮膚感作性試験代替法の研究を進め、ほぼ同時期にヒト単球細胞株のひとつである〝THP-1 細胞〟が皮膚感作性試験代替法に用いることができることを見出し、2003 年 1 月より共同開発を進めてきました。

その結果、これまでの実験動物を用いた世界共通の公的試験法〝LLNA〟と、同等の精度で感作性を予測できる皮膚感作性試験代替法〝h-CLAT〟の開発に成功しました。h-CLAT については、OECD テストガイドライン化に向けて積極的に取り組み、日本において厚生労働省や他企業などの支援も受けて試験法の有効性と有用性が検証されました。その後、EU が主導するバリデーション(妥当性検証)を経て、現在、世界共通の公的試験法である OECD テストガイドライン収載に向けた最終の審議がなされています。

h-CLAT は、実験動物を用いる方法に比べて、サンプル量が 20~30 分の1、コストが 50 分の 1、時間が 14 分の 1 と、少量のサンプルで低コスト、短時間で高精度な感作性の予測ができる試験法です。化粧品にとどまらず、すでに医薬品や医療材料などの安全性評価、アレルギーの基礎研究など幅広く応用されています。

※詳細、お申込みは下記URL(PDF)をご参照ください
◎ 株式会社資生堂 2014年11月21日発表
http://www.shiseidogroup.jp/releimg/2362-j.pdf

◎ 株式会社資生堂
http://www.shiseidogroup.jp/

2014年11月21日 17:15

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