植物が飢餓を乗り切るためには、アミノ酸を産み出すオートファジーが必要/東北大学 【プレスリリース】

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植物が飢餓を乗り切るためには、アミノ酸を産み出すオートファジーが必要/東北大学

東北大学学際科学フロンティア研究所の泉正範助教、同大学大学院農学研究科の石田宏幸准教授らのグループは、植物が飢餓を生き抜くために、オートファジーを活性化することで産み出したアミノ酸をエネルギーとして利用していることを明らかにしました。

同研究は、植物の生存戦略の理解、植物オートファジーの役割解明に加え、オートファジー活性を改変することで植物体内のアミノ酸含量を変動させられる可能性を示した重要な成果です。同研究結果は、国際誌 Plant & CellPhysiology 電子版に、1 月 30 日に掲載されました。

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図. 飢餓環境(暗所)に4日間置いた後、光を当てる通常環境で 1週間栽培した植物写真。野生型植物(左)は問題なく生き抜き成長を再開することができるが、オートファジーと、アミノ酸をエネルギーとして消化する異化代謝の両方を行えない二重変異体(右)は枯死してしまう。

【詳細な説明】
1. 背景:飢餓時のオートファジーの役割は?
植物は、光合成によって太陽光エネルギーを取り込むことで生きています。実際に植物体内で光合成を行っているのは、葉の細胞に多数存在する小器官である葉緑体です。

自然界においては、他の植物体との光の奪い合いで十分な日照を得られない状況が生じます。また農業生産の現場においても、日照不足や水害といった異常気象、それに伴う環境変化は、時に光合成によるエネルギー獲得を強く阻害することがあります。

そのような環境変化に強い作物を産み出していくためには、植物がエネルギー不足、つまり「飢餓」に適応するための仕組みを理解する必要があります。

東北大学学際科学フロンティア研究所の泉助教、同大学大学院農学研究科の石田准教授らの研究グループは、過去に、1)葉緑体がオートファジーで取り壊されること、2)この取り壊しが飢餓時に活性化すること、を見出していましたが、飢餓環境におけるオートファジーの正確な役割は分かっていませんでした。

2. 成果:アミノ酸を産み出しエネルギー源とする
研究グループは、モデル研究植物シロイヌナズナを用い、飢餓時の植物オートファジーの誘導と、植物体内のアミノ酸含量の変動を調査しました。

そして、飢餓時にオートファジーが働くことで葉緑体のタンパク質が取り壊され、タンパク質の構成成分であるアミノ酸が生じることを証明しました。

さらに生じたアミノ酸のうち、BCAA と呼ばれる分岐鎖アミノ酸バリンロイシンイソロイシン)が、それらをエネルギー源として消化する「異化代謝」を通して特に重要なエネルギーとなることを示しました。実際に植物が飢餓を乗り切る力を調べてみると、オートファジーが行えない植物、分岐鎖アミノ酸をうまく利用できない植物は長期間の飢餓を乗り越えることができず、どちらも異常になった植物はより早く死んでしまうことが分かりました(図 1)。

植物は、光が不足する時には光合成を行えない葉緑体を一時的に取り壊し、産み出されるアミノ酸を代わりのエネルギーとすることで飢餓を乗り切っていると考えられます。

同研究は、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金及び科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業の支援を受けて行われました。

3. 今後の展望
これまでの同研究グループの成果等により、葉緑体タンパク質の分解、それによって生じるアミノ酸の再利用が作物生産にも必要な機構であることが分かってきています。

多くの植物は、葉緑体を取り壊すことで生じるアミノ酸を最終的には子実を作るために再利用しており、穀物や果実では子実が主な可食部となるためです。

水田で育つイネであれば、光が当たらなくなってきた下部の古い葉の葉緑体を取り壊し、その成分を新しい葉、最終的にはもみへと運んでいます。今後オートファジーの機能を制御する技術を構築していくことで、植物のアミノ酸利用を改変できる可能性が期待されます。

■用語説明
1) オートファジー:植物や動物、酵母といった「真核生物」が広く持っている機構で、細胞内成分の一部を二重膜で取り囲むことで隔離し、その内容物を細胞内のごみ処理場となる部位(植物・酵母では液胞、動物ではリソソーム)に運び、細かく分解するための機構。

■論文題目
題目:Vacuolar Protein Degradation via Autophagy Provides Substrates to Amino AcidCatabolic Pathways as an Adaptive Response to Sugar Starvation in Arabidopsisthaliana
著者:Takaaki Hirota, Masanori Izumi, Shinya Wada, Amane Makino,Hiroyuki Ishida
雑誌:Plant & Cell Physiology
DOI: https://doi.org/10.1093/pcp/pcy005

■問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学 学際科学フロンティア研究所
担当 泉 正範 (いずみ まさのり)
電話番号:022-217-5745
E メール:m-izumi@ige.tohoku.ac.jp

(報道に関すること)
東北大学 学際科学フロンティア研究所
担当 鈴木 一行 (すずき かずゆき)
電話番号:022-795-4353
E メール:suzukik@fris.tohoku.ac.jp


【詳細は下記URLをご参照ください】
東北大学  2018年2月2日【PDF】発表
東北大学 公式サイト

2018年2月 2日 15:41 [研究報告]


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