株式会社ナリス化粧品は、10月21日から30日の期間に開催されている化粧品の国際学会、IFSCC Congress 2020において、肌の光老化の原因として、ニトロ化の関与があることを発見したことを発表しました。
IFSCC Congressは2年に1度開催される、化粧品技術者が最新研究結果を発表する、最も権威ある国際学会です。例年は世界各国で開催されており、今大会は日本での開催を予定していましたが、新型コロナウィルスの影響により、初めてとなるオンライン発表となりました。同社は直近4回連続参加をしており、今回の発表は、過去最多の6件です。
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■ 研究の背景
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肌の老化現象では、細かいシワやたるみなどの自然老化が2割、深いシワやシミなど紫外線によっておこる光老化が8割を占めることが知られています。オゾン層の破壊により、人体が受ける紫外線量が今後も増加することで、光老化の影響も大きくなると考えらますが、このメカニズムはすべてが解明されているわけではありません。長い間紫外線を浴び続け、光老化によりゴワゴワと硬くなった肌の内部では、真皮部分にエラスチンが過剰に蓄積していることが知られています。この過剰に蓄積したエラスチンは、肌の弾力を低下させ、ごわつきの原因になると考えられています。そこで光老化の改善方法を探るべく、同研究を行いました。
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■ 研究内容
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光老化の影響を受けた肌(ほほ)と、影響を受けていない肌(お尻)を比べたところ、光老化した肌のエラスチンが過剰に蓄積した部位には、ニトロ化したエラスチンが多く存在していることがわかりました。一方で、肌に多く存在するたんぱく質であるコラーゲンにはニトロ化は生じておらず、エラスチンのみにニトロ化が生じることがわかりました。さらに、ニトロ化は、真皮の線維芽細胞が紫外線を浴びることで生じること、さらに過剰なエラスチンを産生してしまうこともわかりました。つまり、紫外線で発生するエラスチンのニトロ化により、光老化した肌内部のエラスチンの過剰な蓄積が生じてしまうと考えられます。
また、エラスチンは、肌の弾力に重要な成分ですが、ニトロ化したエラスチンを調べると、硬く弾力が低下していることが確認できました。これにより、ニトロ化が、エラスチンの硬化・癒着を引き起こし、肌の弾力の低下・ごわつきを生んでいることがわかりました。今研究をもとに、光老化を抑制する成分の開発を行い、主力スキンケアブランドへの搭載を予定しています。尚、成分のスクリーニング方法についてすでに特許出願しています。
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■ 発表タイトル
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Extracelluler matrix nitration accelerates skin photoaging:Involvement in elastic fiber accumulation and loss of elasticity in photoaged skin.
和文:細胞外マトリクスのニトロ化が光老化を加速する:エラスチン沈着と弾力性低下への関与について
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■ 発表者・特許出願内容
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出願人:株式会社ナリス化粧品 発明者:齊藤奈緒美
出願日:2020年2月3日 出願番号:特願2020-016178
【詳細は下記URLをご参照ください】
・株式会社ナリス化粧品/PRTIMES 2020年10月22日発表
・株式会社ナリス化粧品 公式サイト