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肌の見え方と、肌内部での光の状態との関係性を解明/富士フイルム株式会社

富士フイルム株式会社は、肌に照射された光の、肌内部での状態を可視化・定量評価する手法を確立し、「にごり」や透明感という肌の見え方と肌内部での光の状態との関係性を解明しました。

多くの女性の肌悩みである、透明感がなく暗くくすんだ印象を与える肌の「にごり」は、これまでキメの乱れや毛穴の広がりなど、肌表面の凹凸が主な要因と考えられていました。しかし同社は肌のにごりの要因が、肌内部にも存在する可能性があると考え、それを偏光画像解析および光干渉断層画像(以下 OCT(*1))解析を用いて光学的に解析を行いました。

その結果、明るく透明感のある「にごりのない肌」が、「にごりのある肌」に比べて、光が当たった時に(1)肌の内部から戻ってくる光量が多く、しかもその光が肌全体から均一に戻ってくること、(2)表皮層内で光の進行が阻害されず、より深い真皮層から多くの光が戻ってきていることが分かりました。同社はこの結果から、表皮層内の細胞の配列や形状の乱れが、肌内部から光が戻ってくる量に関わりがあると推定しています。今後、このメカニズムの解明を進めるとともに、解析手法や解析結果をスキンケア化粧品の開発に生かしていきます。

 

■解析方法
(1) 偏光画像解析:
光はあらゆる方向に振動して進む性質を持っています。ある一定の方向の振動だけを持つ光を偏光と呼び、このような光を肌に当てると、肌表面で反射される光は振動方向が変わらないのに対し、肌内部で散乱し戻ってくる光はその振動方向が変化します。この光の振動方向の違いを利用して、それらの光を分離し可視化(画像化)することができます。同社はこの方法で得られた偏光画像を解析することで、肌内部から戻ってくる光の均一性を可視化し、同社独自基準で定量評価する方法を確立しました。
(2) OCT解析:
光は、重なり合った時にお互いの振動(振幅)の力を強め合ったり打ち消し合ったりする「干渉」という性質をもちます。OCTは光が干渉することによって出る信号を画像変換することで、生態組織深くまで精密な断層画像を得られる技術です。同社はこの技術を、内視鏡を用いる医療画像診断において、病変部位の解析のために開発してきました。今回は、この技術を用いて肌の内部での光の反射・散乱状態を測定しました。
*1 OCT(光干渉断層画像、Optical Coherence Tomography)技術とは、光同士が重なった時に、お互いの振動の力を強め合ったり打ち消し合ったりする「干渉」という性質を用いて深さ方向の情報を取得し、非侵襲で(身体を傷つけることなく)生体組織の精密断層像を得る技術。

■解析結果
(1) 偏光画像解析結果:
「にごりのない肌」は、「にごりのある肌」と比較して、肌内部から戻ってくる光量が多く、かつ肌全体から均一に光が戻ってきていることが分かりました(図1)。
【図1】

20120619_w02.jpg

肌内部で散乱し戻ってくる光だけを取り出し、その量の面内分布を示したもの。戻ってくる光量が多い部分を黄色く、戻ってくる光量が少ない部分を緑色で示している。戻ってくる光量が多いほど、「内部戻り光指標」(*2)の数値が大きい。
*2 内部戻り光指標とは、肌内部から戻ってくる光だけを取り出し、その明るさ(輝度)を数値化した指標。

※リリースの詳細は関連資料をご参照ください

【関連資料】
◎リリースURL/PDF
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_0655.html

◎富士フイルム株式会社:公式サイト
http://fujifilm.jp/

2012年06月19日 17:02

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