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乳酸菌に特有の抗炎症メカニズムを発見/独立行政法人 産業技術総合研究所

独立行政法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)バイオメディカル研究部門、分子複合医薬研究グループ 辻 典子 主任研究員らは、キッコーマン株式会社(以下「キッコーマン」という)研究開発本部 川島 忠臣 研究員らと共同で、乳酸菌が腸管免疫を活性化する新たなメカニズムを発見した。

 乳酸菌は小腸に常在すると同時に、ヨーグルトや漬物などの発酵食品としても摂取され、人々の健康維持・増進に関わっている。今回、乳酸菌内にある二重鎖RNAが小腸の樹状細胞を活性化してインターフェロン-βを産生させることによって、抗炎症効果を発揮すること、腸炎の予防など腸管の免疫レベルの維持に直接関与することが明らかとなった。この性質はこれまで解析したほかの細菌にはみられなかった。乳酸菌に特有の健康維持・増進効果が初めて分子レベルで明らかになったことで、予防医学分野における活用も期待される。また、二重鎖RNAを豊富に含む乳酸菌群が、腸管の免疫を活性化する機能性食品成分となる可能性も考えられる。

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 なお、この研究は独立行政法人 理化学研究所、国立大学法人 東京大学医科学研究所、国立大学法人 大阪大学、学校法人 兵庫医科大学の協力を得て行われた。詳しい研究の内容は、米国科学雑誌Immunityに2013年6月20日(米国東部時間)にオンライン掲載される。

■研究の社会的背景
 腸内に常在している乳酸菌や食物に含まれるプロバイオティクス乳酸菌は人々の健康維持・増進に効果があることが知られている。その安全性の高さ、さらには発酵食品への応用の観点から、乳酸菌は食品•医薬品業界から非常に注目されている。特に免疫増強効果については多くの報告があり、さまざまな免疫疾患への効果が期待されている。しかし、これまで乳酸菌特有の免疫活性化メカニズムやそれに関わる菌の成分については明らかになっていなかった。

■研究の経緯
 産総研とキッコーマンは共同研究を行う中で、健康増進のために腸管免疫を活性化•調節する技術の開発を目指し、腸内細菌や食品成分の機能性に着目してきた。産総研は免疫応答能力の成熟にとりわけ重要な役割を持つ小腸免疫細胞の機能解析について世界最先端の技術を有しており、常在細菌や機能性成分の効果についても国内外の企業•研究所と共同研究を行ってきた。キッコーマンは独自に分離した乳酸菌の効果・効能について検証を続け、プロバイオティクス乳酸菌の応用に努めてきた。

【お問合せ】
独立行政法人 産業技術総合研究所 広報部 報道室

※詳細は下記URLをご参照ください
◎独立行政法人 産業技術総合研究所 2013年6月21日発表
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2013/pr20130621/pr20130621.html

2013年06月21日 17:53

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