花王株式会社スキンケア研究所、安全性科学研究所は、敏感肌および感覚刺激研究において、さまざまなタイプの敏感肌の肌特性と化粧品成分の感覚刺激性との関連性について、明らかにしました。
敏感肌のタイプから、感覚刺激を生じやすい成分を予測できたことから、この考え方を応用することで、敏感肌に最適な化粧品選択を可能にするシステムを構築できる可能性を見出しました。
なお、同研究成果は、「第30回IFSCC Congress ミュンヘン大会(2018年9月18日~21日、ドイツ)」にて口頭発表しました。
■研究の背景
敏感肌意識を持つ女性は世界中で増加傾向にあり、化粧品使用時に生じるピリピリ、チクチクといった感覚刺激(不快感や刺激感)を経験したことのある方は少なくありません。このような感覚刺激は製品の嗜好性や使用意向に大きく影響し、敏感肌意識を持つ方にとって化粧品を選択する上で大きな障壁となっています。そこで花王は、敏感肌意識を持つ方が、感覚刺激を気にせずに商品選択を可能にするシステムの開発をめざしました。
■敏感肌の肌特性と化粧品成分の感覚刺激性との関連
敏感肌意識を持つ日本人女性120名とドイツ人女性80名を対象として、さまざまな皮膚データを計測し、そのデータをもとにクラスター解析を行ないました。その結果、敏感意識を持つ方の肌は特徴の異なる8つに分類され、そのうち2つは日本およびドイツで共通していることが示されました。また、pH調整剤、防腐剤、油剤、保湿剤などの化粧品汎用成分を用いてスティンギングテストを行なったところ、肌タイプごとに感覚刺激を生じやすい成分が大きく異なっていることを確認しました。さらなる解析により、感覚刺激の起こりやすさは、一人ひとりの皮膚特性と各成分の物理化学的特性に関連することを見出しました。
■感覚刺激性の新規予測法を開発
化粧品成分は10,000以上存在するため、すべての成分について感覚刺激を生じやすいかどうかを判別することは容易ではありません。そこで、AI技術に着目し、機械学習法を用いて感覚刺激性を予測するモデルの構築を試みました。4種類の機械学習法のうち、Random Forestにおいて73%と比較的良好な正答率が得られました。
■まとめ
同研究により、敏感肌の方にとってより刺激を感じにくい化粧品選択を可能にするシステム構築の可能性が示されました。今回構築したモデルは、予測したい成分の物理化学的特性および対象者の皮膚計測データが取得できれば利用が可能です。将来的には、店頭カウンセリングを通じて計測する皮膚データに基づき感覚刺激を生じやすい成分を予測し、対象成分を含まない商品を提示するなどの応用が期待できます。
【詳細は下記URLをご参照ください】
・花王株式会社 2019年1月18日発表
・花王株式会社 ホームページ