健康と美容のニュースなら健康美容EXPOニュース

「炭酸ガスの泡」の活用で乳液の感触を変化させる新技術について/ポーラ化成工業

ポーラ化成工業株式会社は、ポリマーを配合した乳液を炭酸ガスを噴射剤とした製剤にすることで、塗布後のリフトアップ実感と塗布中のみずみずしさを両立することに成功しました。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
■ リフトアップ実感の高い製剤はみずみずしさが損なわれる 「トレードオフ」の関係
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
エイジングケア化粧品には、塗布後にリフトアップ実感が求められます。リフトアップ実感を与えるためには、塗布後の膜に適度な硬さをもたせる必要があり、固形の油脂やポリマー(高分子)などを用いることが一般的です。しかし膜を硬くすると、表情の動きに耐え切れずもろくなり「リフトアップ実感が続かない」という課題がありました。また、製剤自体の粘性が高くなるため、リフトアップ実感と引き換えに「塗布中のみずみずしい使用感が損なわれる」というトレードオフが発生してしまいます。そこで高いリフトアップ実感を持続しつつも、みずみずしい使い心地との両立を目指す研究に取り組みました。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
■ カギはpH変化にあり ポリマーの特殊な性質と炭酸ガスによるpH操作でトレードオフを解決
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
初めに、リフトアップ実感の持続において適度な硬さに加えて柔軟さが必要であることを見出しました。さらに使用するポリマーの比率を検討することで、膜を硬くすることによるもろさを解消し、リフトアップ実感の持続が期待できる膜を実現しました(補足資料1)。

次に、リフトアップ実感のために採用したポリマーの特殊な性質をヒントに、「みずみずしい使用感」との両立を試みました。同ポリマーは、中性以上のpHでは膜を形成し高いリフトアップ実感を発揮する一方、pHが低い酸性領域ではサラサラな液状でみずみずしい感触を呈します。したがって、pHを低く抑えた状態から中性以上に変化させることにより、初めはみずみずしく、その後、リフトアップ実感を発揮する膜を形成できると考えました。

使用過程でpHを変化させ、感触変化をもたらすという難題のブレイクスルーに成功したカギは、「炭酸ガス」でした。これまでは、血行促進の目的で化粧品に使うことが一般的だった「炭酸ガス」を、同技術では別の切り口で活用したのです。炭酸ガスが溶け込んだ水はpHが低く酸性ですが、炭酸ガスが気化するにつれpHは上がり、中性に近づきます(補足資料2)。この性質を利用し、ポリマーを含む乳液を炭酸ガスとともに充填したエアゾール製剤の作製に取り組みました。その結果、みずみずしい泡状乳液からリフトアップ実感のあるポリマーの膜に変化する製剤が完成しました(図1)。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
■ 実使用でも狙い通りの実感
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
最後に、実使用において目的の使用実感が得られるか確かめました。専門評価者21名が開発品を2日間使い、9割以上がリフトアップ実感とみずみずしさを感じると判定しました(図2)。同研究では、炭酸ガスを全く新しい目的で用いることで、トレードオフを解消し、リフトアップ実感とみずみずしさの両立を実現しました。ポーラ化成工業では今後も、お客様のニーズに応える新技術の開発を行います。

【詳細(補足資料1、2を含む)は下記URLをご参照ください】
ポーラ化成工業株式会社  2023年1月17日【PDF】発表
ポーラ化成工業株式会社  公式サイト

2023年01月30日 17:31

関連記事