キリンホールディングス株式会社のヘルスサイエンス研究所と松山大学は、中高年の血管老化に着目し、L-シトルリン※1の摂取による血管機能への影響を評価する臨床試験を実施しました。同研究により、L-シトルリンの摂取で高値血圧※2の健康な中高年の血管内皮機能とそれに伴う肩こりや腰痛などの自覚症状が改善されることが示されました。同研究成果は2026年5月15日(金)~17日(日)に開催される「第80回日本栄養・食糧学会大会※3」で発表するとともに、国際学術誌 Nutrition Research に受理されています※4。
※1 ウリ科の植物に多く含まれるアミノ酸の一種で、血流を良くし、血管をしなやかに保つ働きが期待されます。
※2 診察室血圧が130–139 mmHg/85–89 mmHgで、高血圧(140/90 mmHg以上)には該当しないものの、将来的な高血圧や心血管疾患のリスクが高まるとされ、生活習慣の見直しが推奨される段階の血圧。同研究の層gaku別解析基準は、研究開始時点の日本高血圧学会ガイドラインに基づいて設定しており、当時は本血圧域を「正常高値血圧」と呼称していました。2025年のガイドライン改訂により、現在は「高値血圧」という呼称に整理されています。
※3 第80回日本栄養・食糧学会大会(https://www2.aeplan.co.jp/jsnfs2026/)
超高齢化が進むいま、健康を維持しながら生き生きと人生を楽しむ「健康寿命の延伸」や「生活の質(QOL)の向上」に注目が集まっています。老化は、体のどこか一か所だけが衰えることではなく、複数の基本的な生体機能が少しずつ低下していくことが積み重なった結果として起こるため、土台となる健康機能の低下リスクを低減することが重要となります。その中でも、「人は血管と共に老いる」※5と言われるように、血管の機能を健康に保つことは、循環器だけでなく、認知機能や腎機能、運動機能、さらには気分状態など全身のあらゆる健康状態の維持に繋がります。
※5 ウィリアム・オスラー博士(William Osler: 1849~1919)の言葉
このような背景から、健康寿命の延伸に深く関わる血管老化に着目し、キリンがこれまで長年研究を進めてきたL-シトルリンについて、血管内皮機能とそれに伴う自覚症状に対する有効性を評価する臨床試験を実施しました。
同研究により、L-シトルリンの摂取で高値血圧の健康な中高年の血管内皮機能とそれに伴う肩こりや腰痛などの自覚症状が改善されることが明らかになりました。同研究成果は、血管機能を基盤とした抗老化に関わる研究のさらなる展開に向けた基礎的知見となるものです。
■研究成果(概要)
研究の対象者となった45~70歳の健康な成人男女66名のうち、研究開始時に高値血圧だった対象者において、12週間にわたりL-シトルリンを摂取することで、L-シトルリンを含まない食品を摂取したグループ(プラセボ)と比べて、血管のしなやかさが有意に改善することが明らかになりました(図1)。また同様に高値血圧だった対象者では、腰痛や肩こりといった身体の不調についても、L-シトルリンを摂取したグループにおいて、改善が確認されました(図2)。

※ Flow Mediated Dilation検査(血管内皮機能検査)を行い、血流が増えたときに血管がどれだけ広がるかを測定し、血管の内側が血流変化にどのように応答するかを評価しました。
図1.L-シトルリン摂取が高値血圧の中高年における血管内皮機能低下に及ぼす抑制効果

図2.L-シトルリン摂取が高値血圧の中高年における腰痛及び肩こりの自覚症状(摂取前からの変化量)に及ぼす改善効果
■今後の展望
今後も、多くの人の健康寿命の延伸に貢献できるよう、血管機能に関する研究に加え、抗老化に関わる研究をさらに発展させることで健康課題の解決に繋げてまいります。キリングループは自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、心豊かな社会に貢献します。
L-シトルリン摂取が健康成人の血管機能に及ぼす影響について
■背景・目的
血管機能の低下は全身のさまざまな健康障害のリスクとなることが知られています。血管内皮で産生される一酸化窒素(NO)※は血管の弛緩や動脈硬化の抑制において重要な役割を果たしています。これまでに、NO合成酵素の基質供給源であるL-シトルリン摂取による血管機能への有効性が報告されています。しかしこれらの報告の多くは、狭心症などの疾病を有する患者を対象とした研究や、比較的高用量のL-シトルリンを用いた研究が中心でした。また、血圧は動脈壁に圧負荷を与え、血管内皮機能に影響を及ぼすことから、血圧の状態がL-シトルリンの有効性を判断する重要な決定因子になり得ると推察されました。そこで同研究では、低用量のL-シトルリンの摂取が健康成人の血管機能に及ぼす影響を評価することを目的とし、高値血圧者を対象に解析を実施しました。※ 血管を広げて血流を良好に保つ働きに関わる物質。
■研究方法
摂取開始前に高値血圧であった者において、12週間のL-シトルリン摂取により、血管内皮機能の指標であるFMDがプラセボ群と比較して有意に改善しました(図1)。また、同様に摂取開始前に高値血圧であった者において、腰痛や肩こりといった自覚症状についても、摂取開始前からの変化量がL-シトルリン摂取によりプラセボ群と比較して有意に改善しました(図2)。さらに、動脈硬化の助長因子である血中3-ニトロチロシン量についても摂取前からの変化量がL-シトルリン摂取によりプラセボ群と比較して有意に改善しました(図3)。
■研究結果
摂取開始前に高値血圧であった者において、12週間のL-シトルリン摂取により、血管内皮機能の指標であるFMDがプラセボ群と比較して有意に改善しました(図1)。また、同様に摂取開始前に高値血圧であった者において、腰痛や肩こりといった自覚症状についても、摂取開始前からの変化量がL-シトルリン摂取によりプラセボ群と比較して有意に改善しました(図2)。さらに、動脈硬化の助長因子である血中3-ニトロチロシン量についても摂取前からの変化量がL-シトルリン摂取によりプラセボ群と比較して有意に改善しました(図3)。

※ Flow Mediated Dilation検査(血管内皮機能検査)を行い、血流が増えたときに血管がどれだけ広がるかを測定し、血管の内側が血流変化にどのように応答するかを評価しました。
図1.L-シトルリン摂取が高値血圧の中高年における血管内皮機能低下に及ぼす抑制効果

図2.L-シトルリン摂取が高値血圧の中高年における腰痛及び肩こりの自覚症状(摂取前からの変化量)に及ぼす改善効果

図3.L-シトルリン摂取が高値血圧の中高年における血中3-ニトロチロシン量(摂取前からの変化量)に及ぼす改善効果













