健康と美容のニュースなら健康美容EXPOニュース

ロートグループ独自素材に歯の発育と唾液腺活性化に関する新たな可能性を発見/ロート製薬株式会社

―子どものオーラル機能発達と将来の口腔健康を支える素材研究―

ロート製薬株式会社は、ロートグループ経営総合ビジョン「Connect for Well-being &Longevity」の実現に向け、食と健康を将来にわたって支えるためオーラル領域の研究を進めています。今回、国立大学法人新潟大学大学院医歯保健学研究科 硬組織形態学分野 依田浩子准教授、耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野 大野佑樹先生 との共同研究により、ロートグループの独自素材であるグロビン蛋白分解物、ミルク由来加水分解ぺプチド(以下、ミルクペプチド)、加水分解大豆ペプチド(以下、大豆ペプチド)に、歯のエナメル質形成・成熟および唾液腺活性化に関与する可能性を見出しました。

同研究成果の一部は、第131回日本解剖学会総会・全国学術集会(2026年3月24日~26日、東京都にて開催)にて口頭発表を行いました。

 

1.研究成果のポイント

◆ロート独自素材であるグロビン蛋白分解物、ミルクペプチド、大豆ペプチドのエナメル質形成・成熟に関わる細胞機能へ与える影響及び唾液腺の活性化に関わる細胞増殖・分化へ与える影響を検討しました。

◆グロビン蛋白分解物、ミルクペプチド、大豆ペプチドが、歯のエナメル質形成・成熟に関わる細胞機能へ関与することが確認されました。

◆ミルクペプチド、大豆ペプチドが、唾液腺の活性化に関わる細胞増殖・分化に関連する変化が観察されました。

◆ロートグループ独自素材が、子どものオーラル機能発達や将来的なオーラルフレイル対策に応用できる可能性が示唆されました。

 

2.研究の背景

近年、食生活や生活環境の変化により、子どもの口腔機能の未発達や発達不足が社会課題として注目されています。噛む、飲み込む、発音する、唾液によって口腔内環境を整えるといった機能は、将来の食生活や健康維持に深く関わる重要な要素です。子どものオーラル機能に関する社会課題に着目し、将来の食と健康を守るための研究テーマとして、歯の発育や唾液腺機能に関わる基礎研究を進めました。

歯においてエナメル質は歯の最表層を構成する硬組織であり、咀嚼機能を支えるとともに、外部刺激や物理的ダメージから歯を保護し、歯の審美性の維持にも寄与しています。何らかの原因でエナメル質が正常に形成されないと、歯の強度や耐久性が低下するため、むし歯になりやすくなったり、歯が欠けたり摩耗しやすくなったりするほか、歯の変色といった外観上の問題が生じることが知られています。このようなエナメル質が正常に形成されない要因としては様々なものがあり、特に永久歯においては、乳歯のむし歯や外傷、栄養障害などが要因と考えられています。

また、唾液は、口腔内の乾燥を防ぐだけでなく、エナメル質や象牙質の再石灰化、菌叢バランスの維持、口腔内環境の保護に重要な役割を担っています。特に子どもの口腔機能発達においては、唾液の分泌機能が健やかな口腔環境の維持に寄与すると考えられます。

同研究は、歯の形成におけるエナメル質形成・成熟段階に着目及び、唾液腺の発達に関わる基礎的メカニズムを明らかにすることを目的として、新潟大学と共同研究しました。

 

3.結果

結果1 グロビン蛋白分解物、ミルクペプチド、大豆ペプチドがエナメル質形成・成熟に関わる細胞機能へ与える影響を確認

同研究では、歯の発育におけるAMP-activated protein kinase(以下、AMPK)の発現様式と役割に着目しました。AMPKは細胞内のエネルギー代謝を調節する因子であり、歯の形態形成や成熟に関与する可能性があります。そこでエナメル上皮幹細胞の培養系にグロビン蛋白分解物、ミルクペプチド、大豆ペプチドをそれぞれ添加し、エナメル質形成・成熟に関わる細胞増殖、分化、関連遺伝子発現等への影響を検討しました。その結果、AMPK発現亢進作用のあるグロビン蛋白分解物、ミルクペプチド、大豆ペプチドを添加した条件において、エナメル質形成に関わるエナメル上皮幹細胞の細胞増殖促進作用が確認されました。ミルクペプチド、大豆ペプチドに関してもエナメル芽細胞の分化・成熟の促進に関わる遺伝子発現(amelogenin(エナメル芽細胞分化マーカー)、KLK4 (エナメル芽細胞成熟マーカー))の増加傾向がみられました。

 

図1 エナメル上皮幹細胞増殖試験結果(新潟大学実施の研究結果から一部抜粋)

<試験方法>

エナメル上皮幹細胞にグロビン蛋白分解物、ミルクペプチド、大豆ペプチドをそれぞれ添加し、エナメル質形成・成熟に関わる評価として、細胞増殖試験(CCK-8 assay:n=4, t検定 *p<0.05)を行った。

◎細胞増殖試験(CCK-8 assay:n=4, t検定 *p<0.05)

(新潟大学実施)

結果2 ミルクペプチド、大豆ペプチドによる唾液腺活性化に関わる細胞増殖促進作用を確認

唾液腺(顎下腺)由来の上皮細胞を用いミルクペプチド、大豆ペプチドの添加による唾液腺活性化に関連する因子の発現の指標として細胞増殖に関わる変化を評価しました。その結果、唾液腺(顎下腺)由来の細胞に対して、ミルクペプチド、大豆ペプチドに、有意な細胞増殖促進作用が確認されました。

図2 唾液腺上皮細胞 細胞増殖試験

 

<試験方法>
唾液腺(顎下腺)由来の上皮細胞にミルクペプチド、大豆ペプチドを添加して細胞増殖に関わる変化を評価した(CCK-8 assay)(n=5, t検定 *p<0.05,**p<0.01)

(新潟大学実施)

 

4.今後の展望

同研究成果により、ロートグループ独自素材であるグロビン蛋白分解物、ミルクペプチド、大豆ペプチドが歯の形成に、ミルクペプチド、大豆ペプチドが唾液腺活性化に関わる可能性が示されました。

特に学童期は、乳歯から永久歯への移行や口腔機能の発達において重要な時期です。この時期に、歯の形成や唾液分泌を支える口腔環境を整えることは、将来の健康基盤づくりにもつながります。さらに、成長期にとどまらず、成人期の口腔機能維持や加齢に伴う口腔機能低下の予防、高齢期のオーラルフレイルへの対策など、幅広いライフステージへの展開も期待されます。

子どもから高齢者まで、ライフステージを通じたオーラルケアの重要性が高まるなか、ロートグループ独自素材の新たな価値を探索し、さらに多角的検証による科学的エビデンスを蓄積して、独自のオーラル理論の構築と、幅広いライフステージでの製品への応用を目指します。

 

用語説明

・グロビン蛋白分解物
ロートグループであるエムジーファーマが保有する素材。ヘモグロビンなどに含まれるグロビン蛋白を酵素などで分解して得られるペプチド素材。食品・健康領域における機能性素材として研究されています。

・ミルク由来加水分解ペプチド(ミルクぺプチド)
ロート製薬が保有する素材。2009年に素材開発された原料。数多くのペプチド(アミノ酸が2~50個程度つながったもの)が含まれており、ペプチドは生体を調節する作用を有することから、健康維持に対して非常に多くのポテンシャルがあると考えています。

・加水分解大豆ペプチド(大豆ペプチド)
「大豆」を酵素加水分解した加水分解ダイズペプチドで、同社が独自に開発した機能性成分です。

・AMPK
AMP-activated protein kinaseの略。細胞内のエネルギー状態を感知し、代謝を調節する酵素。エネルギー代謝や細胞機能の維持に関わる重要な因子として知られています。

・エナメル質
歯の表面を覆う硬い組織。体内で最も硬い組織とされ、歯を外部刺激や摩耗から守る役割を担います。

・オーラルフレイル
加齢などに伴い、噛む、飲み込む、話すといった口腔機能が低下した状態。全身のフレイルや健康状態にも関わることが知られています。

 

特記事項

同研究成果の一部は、第131回日本解剖学会総会・全国学術集会(2026年3月24日~26日、東京都にて開催)にて口頭発表されました。
タイトル:歯の発育におけるAMP-activated protein kinase(AMPK)の発現と機能
○依田 浩子1、大野 佑樹1,2、中 幸子3、山田 耕太郎3、大島 勇人1
1新潟大・院医歯・硬組織形態、2新潟大・院医歯・耳鼻咽喉科頭頸部外科、3ロート製薬株式会社
タイトル:AMP-activated protein kinase(AMPK)活性化は唾液腺の発育を促進する
○大野 佑樹1,2、中 幸子3、山田 耕太郎3、大島 秀介1,2、植木 雄志1、堀井 新1、大島 勇人2、 依田 浩子2
1新潟大・院医歯・耳鼻咽喉科頭頸部外科学、2新潟大・院医歯・硬組織形態学、3ロート製薬株式会社

 

ロート製薬株式会社 2026年7月1日 発表
ロート製薬株式会社 公式HP

2026年07月01日 19:34

関連記事